「無垢であるが故」mid90s ミッドナインティーズ yuitosさんの映画レビュー(感想・評価)
無垢であるが故
CD、カセット、SNES、壁に貼り付けた雑誌の切り抜き、HIPHOPやスケートボードMTVに胸を熱くした90年代ストリートカルチャーの温度感。
スーパーバッドのジョナ・ヒル監督作品と聞き期待膨らませるもこんなにも清々しく淡い青春群像劇を見せられるとは思わなかった。
思春期特有のアウトローへの憧れ、純粋故の愚直さ無垢であるが故の危うさがみずみずしく描かれる。
人種や生活格差、恵まれた境遇に気づきもせずアウトローに憧れる様は若い日の自身に重なり胸がザラついた。レイの環境を変えたいという思いが今だからこそ刺さる。
夢を語る事もなくなり意味もなく飲み騒ぎ日々をやり過ごす。無気力に退屈な日常と漠然とした未来への不安を抱えながら。ただそこには仲間がいつもいる。90年代ノスタルジー…
あのころ分からなかった親の小言も、同じく思春期の鬱屈とした感情に振り回された先人の助言だったんだよななんてラストシーンを見て苦々しく思い出す。
帰る場所もなくセンター街に屯していたあの子は今何をしているんだろうか。
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