「青すぎて眩しい、が目を背けるな」mid90s ミッドナインティーズ CINE LADAさんの映画レビュー(感想・評価)
青すぎて眩しい、が目を背けるな
90年代半ば、一人の子どもが周囲の悪い奴らに憧れる。大人から見れば一緒くたに不良のレッテルが貼られるわけだが、人の集まりは大人も子どもも関係なく、志し高く次を見据える奴も居れば、とことんダメな奴も居る。ただそこに属して傍観する人間も、その中で人知れず成長していく人間も居る。この作品を不良たちによる群像劇と捉えてしまうのは少し勿体ないのだ思う。
同じ時代、あんなに格好よくトリックなんて決めていなかったけど、ボードに両足をかけてエッチラオッチラと前に進み、終いには面倒くさくなって坂道でボードに座ってただただスリルを味わった。当然、酒もドラッグも存在しなかったけれど、エロ本を覗き見て、父親のタバコをくすねて吸って青ざめた。少しだけ大人になった自分に対して、周囲の評価が変わっていく。子どもにとってはそれは一つの「成長」だ。
多くの人が通ってきたであろう、悪いことへの憧れとそこで学んだ様々なこと。人生は綺麗事では語れない。その時代のど真ん中で何を経験し、吸収して、どのような人間に育ったかが大切なのだ。あの頃の自分と重ねて観ることができる人にとっては、何とも青く眩しい作品。今の自分は「ファックシット!」と不満気に生きていないだろうか?彼らから目を背けてはいけない。
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