「【思い返すこと】」mid90s ミッドナインティーズ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【思い返すこと】
90年代中頃のアメリカ。
確かに差別はあった。
でも、融和は、少しずつだが進み、今のような分断はなかった。
Windows95は出たてで、SNSはおろか、スマホもなかった。
日本で買う携帯も高額で、サイズもデカかった。
考えてみたら、この時代も、そして、きっといつの時代も、若者には鬱屈した何かがあって、自分が何者かでありたいと、見えない何かに抗っていたのだ。
そのなかで時には集い、時には反目し、だが、それは誰かに言われたり、指示されたものではなく、省みることも、和解も自らの責任や判断によるものだった。
人は、この時代、貧しくても、もっと幸福だったのかもしれない。
それに、今のような分断は大きな問題ではなかった。
日本は……。
90年代中頃の日本。
様々な事件、出来事があった。
細川内閣誕生で、55年体制に終止符を打ったかのような感覚を覚えた。
Jリーグが発足した。
しかし、
アメリカで開催されたサッカーのワールドカップに残念ながら日本は進出できなかった。
ドーハの悲劇だ。
Windows95が初めて会社のPCで使われるようになって、Excelの使いやすさは、Lotus123の比ではないことに驚いた。
阪神淡路大震災。
オウム真理教によるテロ。
バブルの残り香がほのかに香る中、調和と革新と、閉塞感と不穏な空気が入り混じって、世界がこれまでとは違うものに変化する予感もあった気がする。
そんな中でも、僕達は、集い、時には争い、時には皆で抗い、傷つき、涙を流し、絶望を感じながらも、助け合い、立ち上がって、生きてきたのだ。
争い、抗っても、それは分断とは違っていた。
それは、90年代も、本当は、いつの時代も同じはずなのだ。
人々は、きっと分断を乗り越えると信じたい。