「【”カート・コヴァーンの気怠い歌が流れる中、ボクは初めてキスをした・・。”閉塞感溢れる90年代半ばのロサンゼルスで、一人の少年が青年期へ移行する姿を”危うさ、脆さ”を絶妙に絡ませつつ描き出した作品。】」mid90s ミッドナインティーズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”カート・コヴァーンの気怠い歌が流れる中、ボクは初めてキスをした・・。”閉塞感溢れる90年代半ばのロサンゼルスで、一人の少年が青年期へ移行する姿を”危うさ、脆さ”を絶妙に絡ませつつ描き出した作品。】
ー 自分自身の90年代の経験と、スティービーが感じたのではないかと思われる心象をミックスさせてレビューを書いてみた・・。-
・ボクはスティービー。未だ13歳で身長も低いから、兄貴(ルーカス・ヘッジズ)にはしょっちゅう苛められるけれど、敵わないんだ。
・ある日、街中でスケボで遊んでいる、ルーベンや”スケボが超絶上手い”レイや、ちょっと危ない感じのファックシット(どんな、綽名なんだ!)やあんまりしゃべらないフォース・グレードと出会って、ボクはちょっとずつ、色んな経験をしたんだ。
そして、ボクはみんなから”サンバーン”って呼ばれるようになったんだ。
・ルーベンから40ドル(どこからお金を用意したかは内緒・・。)で譲って貰ったスケボ。一生懸命練習したけど、なかなか上手くならないんだ。
・だけど、屋根の上で建物の隙間をスケボで飛び越える遊びをしていた時に、隙間に落ちちゃって頭に怪我をしたんだけど、みんなとても心配してくれたんだ。嬉しかった。
だけど、なぜかルーベンはボクとは話さなくなっちゃった・・。
お母さん(キャサリン・ウォーターストン)は凄い心配して、怒ったけれどね。
・知らない女の人たちがいるパーティにみんなと一緒に行って、二人だけの部屋で、初めて会った女の人とキスをしたんだ・・。
二人で服を脱いだ時はドキドキしたけれど、みんなからお祝いされて、嬉しかったな・・。
・あと、兄貴がファックシットと口論になったんだけど、兄貴は・・。ボクには、暴力を振るうのに・・。
で、ある時、兄貴と喧嘩したってわけさ。今までより、怖くなかったよ。
兄貴は友達がいなくて、少し可哀そうでもあるんだと気づいたしね。
そういえば、兄貴が”お母さんも、昔はイロイロあったんだ・・。”と言って、ボクの知らないお母さんの事を話してくれたっけ・・。
兄貴が、いつも一人なのはそれと関係があるのかな・・。
■ある日、一番頼りになるレイがこんなことを言っていたんだ・・。
”ルーベンは母親が酷くって、妹と一緒に良く殴られるんだ。家に帰りたくなくなるよな・・。”
”フォース・グレードの家は貧乏なんだ。靴下が買えないんだぜ!、靴下だよ・・!”
”ファックシットは昔はもっとちゃんとしてたんだけれど、今は酒や薬に手を出してふらふらしてしまっている。”
”俺の弟はある日、車に轢かれて、死んでしまったんだ。それまで、一緒にいたのに突然いなくなってしまった・・。”
それを聞いて、”ボクは、みんなに比べたら、幸せなのかな・・。” とちょっとだけ、思ったんだ・・。
ー ファックシットが酔っ払っているのに、車にみんなを乗せ、運転している時に起こった事。
ボクは記憶にないんだけれど、みんなが心配して病院のソファーで、一晩中、待っててくれたらしいんだ。その光景を見て、お母さんもみんなを見直したみたい・・。
あと、目を覚ましたら兄貴が滅多に見せない優しい顔で、ボクのベッドのそばの椅子に座っていて、ポケットからジュースを二個取り出して、一つをボクに差し出してくれたんだ・・。-
<身体の小さなスティービー(サニー・スリッチ)が、スケボの悪友たちと色んな経験をしながら、徐々に心の成長を遂げていく過程を16ミリフィルムで撮影した作品。
今作は、90年代半ばの閉塞感漂うロサンゼルスを舞台に、多くの少年たちが抱えていた様々な問題や日々過ごす姿を、当時の曲を効果的に使って描き出した作品でもある。>
ニルヴァーナ、いいですよね!
好きです。
中坊?って中学生でですか。素晴らしい。日本でも90年代後期はロックの台頭が起こりましたがあっという間にオタクアイドルブームに飲み込まれました。そして今ではもう音楽の趣味が年代性別に関わらず多岐に渡り一律に流行る歌などほぼないし音楽に時代が無関係になりました。ネット配信主体でレーベルさえ不要になってしまい面白い世界になった気がしています。
このレビュー良いです。まさに何が描かれていたのかの核心をついています。
mid90sにこの設定ど真ん中世代!って事は私の子どもたち世代って事なんですねーーーー。
いつもレビューがしっかりされててそんなにお若いとは思っていませんでした。
考えたらそりゃうちの子たちもいい歳のおばちゃん世代なのか。
KZK様
コメント有難うございます。そして、夜分失礼いたします、
コメントを回避されているので、自分のレビューにコメントを書きます。(初めての経験・・。読んでいただけるのだろうか?)
”この作品の詳細を調べると90年代の曲の選曲なども秀逸らしい。”
秀逸です。当時の曲に心掴まれた者には特に。私が書いた劇中に流れたカート・コバーンのアコギのギター曲「Where Did You Sleep Last Night」(あれは、「ニルヴァーナ」の曲ではなく、彼が自死する前に「MTVアンプラグド」でラストに披露したレッド・ベリーという方(私も良くは知りません)のカヴァーです・・。意味深でもあります。ジョナ・ヒルのセンスの良さが伺えます。
<閑話休題>
KZK様の(多分、私より年上の方だと拝察しましたので・・)レヴューは作品の本質を該博な知識をベースに的確に表現されており、とても参考になります。私は、近年どうしても長々とレビューを書くようになってしまい、(これもそうです)何とか、エッセンスだけを的確な言葉で表現したいのですが・・。
では、又。