岬の兄妹のレビュー・感想・評価
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体が悪いのぢゃない。只運が悪いのだ。
内容は、板野家の生き残りチンバの兄シゲオとハクチの妹マリコが岬近くの借家での筆舌に尽くし難い生活を映像化した昭和の色彩を感じる事の出来る胸詰まる苦しさが見応えのある作品。印象に残った言葉は『逃げないで』産婦人科で堕胎手術を受ける時にDr.が呟く言葉。生きたいと云う気持ちと生きたくないと云う気持ちが映像と台詞でテーマとして伝わってくる。印象的な場面では、クローズダウンで浜辺を低いカメラで3人を押さえながら引いて写すシーンが非常に冷たくて人の内面を表す様な表現は素晴らしい。世間は冷たくも温かくも無く感じる人次第だとは思いますが、その世の中で家族の複雑さと温かさを感じる人間の矛盾が表現されている所は脱帽です。売春を斡旋する兄も妹を性的に見て居た過去を隠しながらも面倒見ようとする呪いにかけられ、売春で出逢う同じ障害者同士の内集団との関係は絶妙で、役者さんの兄と妹役の表現力の凄さには驚きます。岬と云う生死の狭間で生きようとする人々には目を見張るものがあります。物語の最後妹が岬に立ち振り返る時の表情と電話をとる兄の表情には幸せとは言えない刹那的な絶望が胸を打ちました。短い尺の映画ですが非常に人間の矛盾を的確に描いた面白い映画だと思います。でも見た後は元気でないなぁ。
腹にズシンと残る作品
とにかく最初から強烈、頭の30分でかなり疲れます。
妹役の道原真理子が最初からすごい芝居を見せつけて、ギュッと掴まれたようになりました。
決して正しくはない。が、兄妹は必死に生きているんです。
絶望的な負の連鎖ではなく、ゆっくりと二人を締め付けるかのようなのがまたキツい。
逃げ出したいけど逃げ出せ無い兄の葛藤も凄く、叫び声が良くそれを表していました。
ふと思い付いた「結婚」という逃げ方も、そんな心を簡単に見透かされてしまう。
そうしてこの岬からも、妹からも離れる事が出来ず、ただ日々は続いていく。
ハンディキャップに貧困層。少し韓国的なテーマだとは思いますが、どこの国でもこうしてセーフティネットから溢れている人はいるのでしょうね。
腹にズシンと残る作品でした。
役者がいい。
右足の不自由な兄と知的障害のある妹が社会の底辺で懸命に暮らす。 そ...
主演2人の演技力に惹きつけられながらも ここまで堕ちていかなければ...
評価が極めて難しい・・
深く考えさせられるが、救いようが無い物語
暴論的自論
雰囲気は韓国映画の感じしました。
ポンジュノの助監の人ですよね。
ほぼ自主制作で、当時かなり話題になりました。
「カメラを止めるな!」みたいに
役者はほぼ知らない。
結構ガツンときました。
ガツンとき過ぎて、レビューが纏まらなかった。
極論言えば、母親が無責任過ぎるが、
出てこないから何も言えない。
ただ2人で生きていかなくちゃ。
ここから暴論😅
コレを観てるとAVを想起させる。
嘗てから思っていたが、
AVに出演する女子は2通りしかいなくて、
自分の容姿を武器に
稼げる時だけ稼いでさっさと辞める、か
容姿は良いけど周りの圧力で
女優になってしまった、パターン。
前者は、飯島愛とかマスカッツとか、
AV踏み台にTV出て有名になる!
という野心が見える。
後者は、グラビア出てたけどパッとせず、
いつの間にかAVに出てた、みたいな。
AV女優って、
後者の方が圧倒的に多いと思う。
グラビアからの転身はレアだが、
巷でかわいいからキレイだから、とか、
それだけの理由でなってしまうケース。
映画のマリコは、
分かり易く発達障害であり、
「オシゴト」と言えば性的サービス。
彼女ほど障害が顕著に見られるのは少なく、
発達障害てゼロイチではないので、
AV女優とか性風俗の方は、
マリコに近い人間なのではないだろうか。
それが良いとか悪いとかじゃなく、
発達障害だろうと下肢不随だろうと、
周りが手を差し伸べる社会を作りたいですね。
変な同調圧力は要らないけど。
こーゆー人にこそ、
生活保護は必要です。
高校生たちとの絡み。
嫌な予感しかしなかったけど、
あの反撃はサイテーでサイコー‼️👍
ただ、握手はサイテー🤣
環境の悪さ
凄い作品を観てしまった
障碍なのか障害なのか
じめっと
禁忌に挑んだ野心作
底辺社会に生きる兄妹の悲惨な状況をシリアスに綴った作品。
製作、監督、脚本、編集を務めたのは片山慎三。氏にとっては本作が長編監督デビュー作ということだ。これだけ衝撃的な内容の作品を、しかもほぼワンマン体制で作り上げてしまった所にこの監督の凄みを感じた。
後で調べて分かったが、片山監督はここに至るまでにたくさんの助監督経験を積んできたということだ。「TOKYO!」や「母なる証明」ではポン・ジュノ監督の下で、「マイ・バック・ページ」や「苦役列車」では山下敦弘監督の下で助監督を務めている。これらの監督の名前を見れば分かるが、いわゆるエンタメ路線とは一線を画した、作家性の強い監督の下で経験を積んできたことが分かる。
障碍者を描くということは日本映画ではある種タブー視されているようなところがある。そこに挑んだ片山監督の意気込みを自分は大いに評価したい。中には、未成年者との性交や障碍者同士の性交といった刺激的な描写も登場してくる。障碍者と言えど同じ人間なのだから、彼らにだって普通に性欲はあるし、普通に人を裏切ることだってあるはずである。本来であれば映画の中でそれを描いても間違いではないはずなのだが、どういうわけか表現自粛という謎のフィルターに阻まれて禁忌とされてきた風潮があるように思う。そこに切り込んだ本作は、かなりの野心作と言えるのではないだろうか。
しかも、今作の配給にはイオンエンターテインメントが協力している。これまでであれば、この手のインディペンデント映画は都内のミニシアターでひっそりと上映して終わりであったが、本作は全国のイオン系のシネコンにかかったのだ。シネコンはいわゆるライト層のユーザーが利用する劇場である。そこでこうした映画がかかるというのは、それだけで実は画期的ではないかと思う。
原一男監督の長編デビュー作「さよううならCP」は、今でこそソフト化されVODでも配信されて誰でも観れるようになったが、長年幻の作品としてされてきた。それだけ障碍者を扱った作品というのは日本映画史では隅っこのほうへ追いやられていたのである。
尚、昨今では「37セカンズ」も単館ロードショーから口コミで評判が広まり、徐々に公開規模を増やして最終的にはシネコンでもかかるようになった。今後もこういう傾向が増えて行けばいいなと一映画ファンとして思う。
物語はいたってシンプルである。上映時間も90分足らずとコンパクトにまとめられている。内容がヘビーなだけに、この短さはある種ありがたいとも言える。
そして、そのヘビーさを和らげるためか、片山監督は随所でユーモアを配している。例えば、下ネタも交えて描かれる学校のシーンなどには思わず声を出して笑ってしまった。真理子と独居老人のやり取りにもクスリとさせられた。
映像も、序盤こそ兄妹の極貧生活を反映してか、薄暗いトーンで覆われているが、真理子の売春が徐々に軌道に乗り人並みの暮らしを送れるようになってからは陽光が降り注ぐ明るいトーンに切り替わっていく。やってることはヒドイ話なのだが、画面全体がそれを和らげる効果を生んでいる。
また、ピンクチラシを空にばらまくシーンには、新人離れした洗練された映像センスが感じられた。
余韻を引くラストも良い。監督の問いかけのようなものが感じられ、兄妹のその後の人生が色々と想像された。
確かに演出に粗削りな部分は見られる。例えば、真理子とヤクザの行為を良夫に見せつるシーンで、突然カメラがズーミングをする個所があるのだが、これには違和感を持った。
ただ、そうした拙さを補って余りあるパワフルな演出と作劇は、今の日本映画界にはない勢いと新鮮さに満ち溢れており、片山慎三監督の今後の活躍が頼もしく感じられた。
兄妹を演じたキャストの好演も見逃せない。特に、真理子を演じた和田光沙の体当たりの熱演なくして本作は語れないだろう。障碍者を健常者が演じるというのは大変難しいと思うのだが、それを堂々と演じきって見せたことで作品の説得力を生み出している。
重くのしかかり突き刺さる映画
私たちは他人にどこまで優しくなれるか
2021年11月14日
知り合いから勧められて鑑賞。
あらすじを読んで、『誰も知らない』や『万引き家族』、『マザー』とテイストが似ている作品だと思いました。
以下、作品の感想です。
◆和田光沙の名演、迫真の演技
和田光沙さんは本作で初めて知りましたが、自閉症のある真理子役を完璧にこなしていました。本当に自閉症の方を起用したのかと思うほどにリアルでした。
濡れ場シーンも違和感がなく、観ている側も引き込まれてしまいました。
◆良夫が憎めない
良夫は自閉症の妹・真理子に売春をさせて、生活費を稼ぐという、鬼畜・外道の極みな性格です。
しかし、彼自身にも罪悪感があり、真理子が妊娠したときには、真理子が慕っていた客に夫になってくれないかと、必死に訴えるシーンが印象的でした。
どんなに外道なことをしても、やっぱり家族・妹を捨てることはできない優しい心が個人的に刺さりました。
真理子が、良夫に叩かれているにも関わらず、売春してもらった1万円を「家に入れる」と言うセリフは、健気すぎて辛かったです。
◆福祉サービスの存在を知らない
兄妹はなんで生活保護などを受けないのか、映画の設定が非現実的だというレビューがちらほら見受けられました。
私の知り合いに市役所で生活保護の業務に就いている方がいますが、生活保護を知らない層は一定数存在しているそうです。また、知っていても、「生活保護の世話になるなんて恥ずかしい」という思いから、福祉のサービスを受けずに、自滅していく層も存在しています。
豊かになった日本でも、最底辺層は福祉サービスまで辿り着けないのです。
自分とは無縁の世界だと決め込んで、そこに目を向けようとしない、見たくない、綺麗なものだけを見ていたいという我々一般人に、現実を突きつけてくるような感覚でした。
◆真理子の最後の表情は?
正直、ラストの真理子の表情の意味は分かりませんでした。
ただ、携帯の着信音に振り返った様子から、真理子は「お仕事」の合図を感じたのではないでしょうか。それを察した良夫の表情も印象的でした。
◆明日から自分は他人に優しくなれるだろうか
日本は世界の中では豊かな国ですが、未だに最低限の生活を保障してくれる福祉サービスにすら辿り着けない国民層がいます。また、犯罪を犯し、刑務所で罪を償った者が頑張って社会復帰をしようとするも、「国民感情」が彼らを社会から追い出す現実もあります。両者は生きたくても生きられない底辺という意味では同じ存在です。
私たちは、そのような人たちにどこまで優しくなれるだろうか。手を差し延べてあげられるでしょうか。
それを問われているような映画でした。
主演女優の和田光沙さんが凄い!!
内容が衝撃的過ぎて倒れそうでした。
日本の何処かに良夫と真理子のような境遇の兄妹が存在しているかもしれないと思うと涙が止まりませんでした。
良夫は足も悪いし障害を持つ真理子を抱えているのだから、ちゃんとした手続きをすれば生活保護を貰えるだろうし、真理子は障害者なのだから手続きさえすれば国からのサポートもしてもらえるだろうに…
警察官の友達は良夫と真理子の状況を見て市役所に相談するとかしてあげないんですね。
それが引っ掛かりました。
それより真理子を演じた和田光沙さんの演技が凄すぎて感動しました。
途中でDVD止めて配役を確認しましたもん。
本当に障害者を使っているのかと思いましたよ。
素晴らしい女優さんだと思います。
調べたら2020年の日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞は「新聞記者」のシム・ウンギョンさんが受賞してますが、この映画を見たからには私の中では2020年の最優秀主演女優賞は和田光沙さんです。
日本では、このような素晴らしい作品が日の目を見ないので悔しいです。
そして日本が本当に生活に困っている弱者に優しい国になることを願います。
片山慎三監督の今後の作品にも注目していきたいと思います。
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