岬の兄妹のレビュー・感想・評価
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どん底生活の底なし感に胸が潰れそうでした
ある港町に暮らす足に障碍を持つ兄・良夫と自閉症の妹・真理子の二人のどん底のような生活を描いた人間ドラマ。仕事を失い生活苦に陥った人々の行き着く先をこの作品は容赦なく見せつけてくれます。そんな兄が選んだ方策は人の道から外れたものでした。しかし、罪悪感に苛みながらそのような決断をしたにも拘らず、彼らは救われるどころか、更に余計な厄介事を抱え込んでしまうとは何と運命の皮肉で苛酷なことか。しかしそれでも兄妹は自ら死を選ばぬ限り生き続けなければならない... 最後の場面はそのような暗澹たる運命を受け入れる兄の覚悟を写していたように思いました。真理子役・和田光沙さんの体当たりの迫真の演技はこの作品に無くてはならなかったもの、本当にお見事でした。
泣き笑いがとまらない
貧困と障害という負のスパイラル
京都の出町座に初めて行って、すごく雰囲気のある映画館で好きな感じ。
引きずる足の障害を持つ兄と発達障害!?自閉症!?の妹と文化住宅で暮らしており、兄が障害を理由に解雇され金回りが苦しくなって、お試しでやってみて味をしめた売春で生活費の補てんをしようとする。
一発逆転のような収入があるわけでもないし、かと言って資格や能力があるわけでもない。ましてや、発達障害の妹養っていかなくてはならないだけに、自由に動けるわけでもない。
もう八方塞がりで閉塞感と、不法行為と分かっていながらも売春をしないといけないほどに追い込まれた状況では、全面的にダメとも言い難い、答えのない解決方法を鑑賞者はあれこれと想像しながらみれた。
妹の体当たり演技とはまさにこのことで、主演女優賞にノミネートしてもおかしくないのでは、と。自閉症の発声や同じ言葉を繰り返す癖、落ち着きがなく頭を振りながら焦点が合っていないような表情、役作りは完璧だった。
痛々しく、つらい。救われない?
映像がエグかった。 エグいものをエグいまま見せるのは、 あんまりい...
見事な世界観
真理子の存在が私の心を打つ
タイトルのあるように 兄妹の物語
その兄は右足が不自由で足を引きずり歩いている
妹は自閉症で兄は彼女の面倒を見ながら生活をしている
部屋は散らかり放題で 暮らしもままならない様子だ
そして兄も職を失い 明日の食事もままならない
電気代も払えず 電気も止められ・・・
とこれでもか これでもかと 貧困の様子を見せつけられ
見ていてつらかった
そして 兄は妹に売春をさせ暮らすことになるが・・・
とまあ話は進んでいくのですが
毎日の生活に追われ苦しむ兄 良夫
兄はこれからのことや みじめな暮らしや
妹に売春をされる罪悪感や 会社を首にされた恨みなど
毎日がつらくてたまらない
それに対して妹 真理子は苦しんでる様子はなく
兄との暮らしを楽しんでいるかのようだ
男との関係も「冒険!冒険しよう!」と
はしゃいでいる姿がなぜかかわいかった
真理子は今を生きている
この貧しいどん底の暮らしでも
真理子はたくましく生きている
その彼女の強さ純粋さに心を打たれた
しかし見ていて本当にきつかった
胃まで痛くなってしまった
しかし 観るに値する作品だ
Tシャツ欲しかった
胸クソ映画
自閉症の妹を持つ足の悪い兄が、仕事をクビになってお金のために妹に売春させる話。
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ここにサクッと売春させるって書いたけど、この映画ちゃんと見ると、お金が無くてゴミ漁ったりしてほんとにどうしようもなくなって最後の最後に売春っていう手を使ったって感じ。
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妹自分がやってることを理解してるのか分からないけど、結構喜んでやってるし、しょうがないんじゃないかなって思ってしまう。
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悪いとかダメだって言うのは簡単だけど、じゃあ誰がこの人たちを救えるのかって話だし。そういうの言う人は言うだけ言って助けてはくれないしね。
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結構見るに堪えないキツいシーンが多いけど、面白かった。
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唯一笑えたシーンは少年達にお金とられそうになって自分のうんこを少年たちに投げつけるとこ。あの必殺うんこアタックはどんな必殺技よりも強いだろうな(笑).
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昭和の薫り
主演ふたりは出色
救いようのない、現実。
どうしょうもない、人間だから
_φ(・_・演技良し!最後の電話は誰から?
頑張っても報われない
目を背けたくなる行為と置かれた状況。スクリーンの中でもがく兄妹に観客たちはどこまで寄り添うことができるのか。兄が「偽善者」と詰る、警官の友人と我々の間にどの程度の違いがあるのだろうか。
この鑑賞の数日前、東京大学の入学式での祝辞が物議をかもした。上野千鶴子氏によるそれは、頑張りたくても頑張れない、頑張っても報われない、そうした人々に対する、余りにも厳格な自己責任追求への戒めを含んでいた。
大人が弱者のモラルや振舞いに対して不寛容、あるいは無関心な社会には、自分よりも弱いものはオモチャくらいにしか考えない「くそ」ガキがはびこる。プールのシークエンスは、まさに、映画でしかなし得ない表現である。
上野氏の祝辞は、そんなくそガキども(またはその予備軍)への親心であろう。
映画が描くのは、弱き者なりの生き抜き方とモラルである。これは、満たされた強き者のそれとは異なる。その異質な部分をことさらにあげつらい、蔑み、排除しようとする圧力の発生源が、自分の中にはないと言い切れる観客が何人いるだろうか。
生活保護や社会福祉、ケースワーカーなどに一切言及することのないこの作品は不自然だろうか。自分が手に負えない人々、自分の手を汚したくはない問題は全て役所に押し付ければ万事解決なのだろうか。
売春防止法の施行前の、遊郭の女たちを描いた溝口健二の「赤線地帯」でも、映画は仕事を失う女たちの悲哀に寄り添っていた。
ここでも、春をひさぐことで、ほんのひと時、社会との繋がりを持つことのできた兄妹が、その唯一の手段を失う。
オープニングのシークエンスに戻ってしまったかのような、ラストのシークエンス。川島雄三の「洲崎パラダイス 赤信号」のようではないか。
川島の作品は、ほんのわずかな希望をほのめかして映画が終わる。こちらの作品はどうであろう。希望と絶望とどちらとも受け取れるラストシーンだったが、私には絶望のように思えた。
冒頭で海に浮かぶ靴が回収される。今度こそは濡れた靴の持ち主がこの妹になるような気がしてならなかった。
往年の東映作品のような題字、音声など、やりたかったことが明確に伝わってきた。片山慎三監督の今後の活躍に期待したい。
重苦しい閉塞感の中でも生きる事を貪り食う作品です。
なんとなく興味があったので鑑賞しましたw
で、感想はと言うと…キツい。
正直キツいです。
最初は「マムシの兄弟」のタイトルからの引用かなと軽く考えてましたが、やられました。
ガツンと食らわされた様な衝撃です。
一言で底辺とかで片付けられないのですが、いろんな倫理観とか価値観とか、人間の在り方や尺度。社会で生きる定義や正義感が揺さぶられると言うか、溶ける感じがします。
陳腐でもハッピーエンドが好きなのに、果てしなく重くて、鑑賞後、希望に溢れる明るい作品が観たくなりました。
他の人も書いてましたが「万引き家族」が物凄くソフトでハートウォーミングに思えますw
また、今から半世紀も前なら、まだあり得た表現であっても、今のご時世でここまでやるか?と言う感じ。
放送禁止用語もきわどい表現もバンバンで人によっては気分が優れなくなる感じになるんではないでしょうか?
ですが、真理子役の和田光沙さんのまさしく身体を張った体当たりの演技をされてます。
和田光沙さん。ちょっと…いや、結構気になると言うか、引っかかる女優さんです。
そう意味では最近では珍しい、昭和テイストのド硬派のインディペンデントな作品ですw
とにかく、この兄妹の生き方が生々しいと言うか、重い。もうやりきれない感じが満載。
足に障害があって、仕事もクビになり、自閉症の妹を抱えての生活にのし掛かる重圧と言うか、閉塞感はハンパでないのは分かりますが、生きる為に自分の妹に売春の手引きをする悪循環。
しょうがないのかなぁと言う気持ちが何処かにあってもどうしょうもない閉塞感や罪悪感が満載。
良夫と真理子に置かれた境遇は与えられた僅かな空間の中での数少ない選択肢しかなかったから、その中で出来る事を選んだ選んだだけなので、当人達にはそれしかななかったし、それを選んで何が悪い?となる訳です。
これは、選択肢が数多くある者には分からない心境ではないでしょうか?
キッツい場面だけでなく、笑える所もあるし、ちょっとずつ生活が出来る様になってからお日様の光や花火なんかに束の間ホッとします。
ラストの終わり方は個人的には少し理解が出来なかったかな。
子供を堕して、仕事にありつけても、また再び繰り返す様にも思えるし、真理子が兄の行動に見限った様にも思えるし、全てを終わりにする様に達観した様にも思える。
いろんな事を考えさせられますが、やっぱり重いなぁw
この作品を観て、いろんな事を考えたりすると思います。
ただ、自分の置かれた境遇や立場に感謝して、反教師的に捉えると言う言葉でなく、誰にでもあり得る事、明日は我が身的に考えた時にどう考え、どう生きるかを強烈に叩き込んでくるかと思います。
正直、あんまりお薦めはしませんし、観る人を選ぶ作品でもあります。
今は再び観たい気持ちにはなりませんがw、なんとなく野村芳太郎監督の「鬼畜」や今村昌平監督の「楢山節考」を思い出しました。
…あっ!どっちも緒形拳さん主演だw
いろんな事を観る側に叩き込んできて、重苦しい閉塞感の中でも生きる事を貪り食う。
鑑賞後も心の中の襞にへばりつく様に印象と感想と余韻が生々しく残る。
そんな稀有な作品でもあります。
なぜ笑えるのか
ある港町で自閉症の妹真理子と暮らしている兄の良夫。
序盤から真理子は外を飛び出し、知らないおっさんに犯されて金銭を入れられる。
一方、良夫は足を悪いことを理由に仕事をクビにされてしまう。
妹真理子はお腹が空きすぎてテッシュを食べちゃう、それに良夫は怒るも、ふと食べてみると「おっイケるじゃん…」
という場面。
文章で表しただけでも壮絶で悲惨な状況下どこか可笑しみを感じさせるのはなぜ?
それは電気も止めれられて食べ物もなく、風呂にも入れず、ホームレスにはゴミ飯を取られるわと良いとこなしの兄妹はそうした絶望的環境にいる中においてそれでも「生」を諦めないからだ。
言いかえれば、がむしゃらに生きる人間てのはある種笑えるのだ
それは嘲笑的な笑いではなく羨望的な笑いに近い。
この「羨望的な笑い」とは、彼らがオーディエンスの私たちよりはるかに「生」に固執的であるので、私たちが彼らより「生」に対する貪欲さが劣ることを認識し彼らを仰ぐに近い笑いが生じることである。
つまりあの兄妹は私たちよりはるかに「生」において優っているのである!
コーラを飲みながらポテチを頬張り、ドラマを観ている私たちより彼らの「生」が曲がりなりにも真っ直ぐであるのがなんとも不思議な光景にも思われる。
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