「リアルがゆえのグロさ」岬の兄妹 adaさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルがゆえのグロさ
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グロい。この言葉が適切かどうかわからないが、私は終始グロいと思いながら観ていた。
この兄弟の道のりは、どんな選択をしたって苦しくて行き詰まって
それは有識者の正しいアドバイスなんかが届くものではなくて、
人生の蓄積、経験則、思い込み、いや、そのどれもが現実味を帯びた今この瞬間のしんどさに繋がっていて、もうその方法しか見えない、とれない。
そこに愛があるからこそ、切っても切れない縁だからこそ。
どんどん繋がっていく家族の輪も。分かっていないようで、分かっているような妹も、確実に女になり、母となり、そのささやかな感情を願ってあげたい兄がいて。
でも、それが届かない。
感情があるからこそややこしい。行き詰まる。どうしてこうなったのか、もうその原因すら見えない。
最後のシーン、岬に立つ妹に、中学生の言った「潮の香り」を思い出した。母なる大地の海。
しかし、電話がなった瞬間、女の顔になった妹に。
鎖に繋がれ家に閉じ込められていた妹を思い出し、もう何も、先のことなんて考えられなかった。
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