「大嫌いな設定、ところが・・・」岬の兄妹 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
大嫌いな設定、ところが・・・
昭和の日本映画を彷彿させる手書きタイトルのオープニング。勤めを失い、ただの貧乏から、底辺の困窮にあっという間に転げ落ちる兄妹。そこで頭が少し弱い妹の身体を売って暮らし、たった一人の友人すら兄を見放していく、というこれまた古臭い展開。
これは、自分が最も辟易するタイプの話。「実際にこんな生活をして暮らす人たちがいるのだろうが、自分はそれを正視したくなんかないし、ましてや金を払って観たくなんかないんだ!」と叫びたくなるような話。
ところが、これが何故か泥々していない。先に述べたようなストーリーなのに。主人公(兄)も生きるために仕方なくとった選択肢であり、絶望的なふたりの人生に変わりはない。
それなのに、観ている画面も、自分の心の中も、終始、暗くならない。とても不思議な映画だ。
「ひたすら生きようとする」という限りなく単純な描写が、そうさせるのだろうか。
ちょっとすごいことかも。
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