「ある天才女性の再生の物語」バーナデット ママは行方不明 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
ある天才女性の再生の物語
私にとっては、ケイト・ブランシェット主演『TAR/ター』同様、
ある天才女性の再生の物語でした。
主人公バーナデットは、
かつて建築界を席巻した天才建築家として活躍しながらも、
夢を諦めて家庭に入り、日々鬱屈とした生活で、精神的に疲れてしまいます。
ただ、娘が最大の理解者で娘との関係性と
ローレンス・フィッシュバーン演じる昔のバーナデットを知る人との
再会から、客観的に自分を見つめ直すことができるようになります。
ここが転機となり、
南極旅行に行ったと思い込んで娘と夫を追うつもりが、
娘と夫は出発しておらず、バーナデットだけ南極を向かってしまっており、
娘と夫がバーナデットを探しにいくという、
実によく練られている脚本だと思いました。
夫が精神科医を自宅に連れてきて、バーナデットと対峙する重要な場面が
あるのですが、バーナデットは犬猿の仲であるお隣のオードリーのところへ
逃げ込みます。知人は貴方だけなのというセリフが実に深いのですが、
さながら、身内から襲撃を受けた石田三成が、徳川家康のところへ逃げ込む
エピソードを想起しました。
主人公のメンタルとフィジカルの乖離の複雑さを抱えながらも
自分自身の得意なこと&好きなことの仕事を通して、
家族との絆を取り戻していくラストシーンが、実に感動的でした。
それのみならず、車中で娘と一緒にシンディ・ローパーの
「Time After Time」を熱唱するシーンが私のお気に入りです。
やはりケイト・ブランシェットの演技力と存在感は圧倒的&圧巻で、
それだけでも観る価値のある映画です。
ひでちゃぴん様 たくさんの共感とフォローありがとうございます。
ケイト・ブランシェットさん素晴らしいですよね。
私も車の中で娘と一緒にシンディー・ローパーを熱唱するシーンすごく好きです。