「南極である必要は全くない物語です。」バーナデット ママは行方不明 映画.ffffさんの映画レビュー(感想・評価)
南極である必要は全くない物語です。
まだ、本作を観ていない方で、本作が人生に疲れた主人公が意を決して一人南極へ旅立ち、その旅を通じて立ち直るロードムービーだと想像している方は、全くとは言いませんが、かなりズレてますのハードルを下げて観るか、他の作品を検討された方がいいです。それでも見ようと思う方は以下は読まないでください。
まず、前半から中盤にかけて、会話中心のような感じがだらだらと続いてなかなか話が進まず、いつになったら先に進むのだろうと思いながら、本作への期待度はどんどん下がって行きます。ほぼ、もうどうでもよくなったころにやっと話が動くのですが、そこからは話があまりにもトントン拍子というか超ご都合主義で、南極に行って何故か南極点の基地を設計することになり、めでたしめでたしで終わりです。
ストーリーはつまらない上にいい加減だし、感動もできません。もっと南極への旅を通じて自分を取り戻して立ち直るような物語を想像していたのですが全く違いました。そもそも、主人公は建築物を設計することに飢えていただけで、設計さえできれば南極である必要は全くなく、何で南極へ行く設定にしたのかも意味不明で、観客の気を引くためとしか思えませんでした。
また、CMだとコメディ色が強そうに見えますが、そもそも主人公が精神疾患者であるため意外と内容はシリアスで、内容と演出がチグハグな感じがしました。いっそのことコミカルな部分は無くしてシリアスに作った方が良かったのではと思います。FBIも不要です。
ケイト・ブランシェットが出演していなければ観には行かなかったので、ケイト・ブランシェットの起用はある意味正解かも知れませんが、無駄遣いとも言えます。「TAR」を観た時は映画というものは演技だけでも見る価値はあるものだなと思いましたが、流石にストーリーがつまら過ぎると演技だけではカバーできないですね。