「日本の台風を分けてあげたい。」風をつかまえた少年 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の台風を分けてあげたい。
風車を作って水を引き、干ばつの被害をなくそうという試みを14歳の少年の発案で行ったという実話がもとになった映画。ただ、その科学的知識とか風力発電器製作の経緯といったシーン以外にも、アフリカの中でも貧しい国の現状を訴えてくるのです。そしてラジオが主な通信機器(しかも電池で)であり、少年たちは9.11テロのニュースよりもサッカー中継にしか興味がないという微笑ましい光景。そして、葬式で始まり、葬式で終わるという構成も面白い。
人口1500万人の国マラウイ。名前しか知らなかったのでwikiでさっと調べてみましたが、映画でわかるように教育には力を入れているようです。識字率が60%超えというのもその証左。学校では公用語の英語を使っていたのも興味深いところでした。しかし、授業料を払えなかったら退学ってのは痛いですよ・・・収穫が終わったら払うと言ってんのに・・・
そんな農業国、災害の多い国、教育熱心なのはわかるのですが、大統領が村を訪問したときに政治の愚かさも目に付きます。干ばつで農作物が獲れないし、飢饉のため食糧難だって訴えようにも、大統領は次の選挙のことしか考えていない。言論の自由と民主主義を演説し、大統領に文句を言った族長がフルボッコにされるシーンも痛々しくて、上の奴らのえげつなさが見え隠れする。まるで西日本大豪雨の際に宴会をやっていたり、千葉が台風で甚大な被害を受けている際に組閣にしか頭が回らなかったりと、どこかの国の閣僚と同じだと感じてしまいましたよ。トホホ・・・。
思いっきり泣いてしまったのは犬カンバの死だったし、新しく子犬を飼ってるところでまた涙。とにかく、長い目で見ても教育優先!インフラ整備!次の選挙のことなんか考えるな!ですね。
同じような思いで共感しますが、この干ばつと台風って近年の地球温暖化とほぼ同義なんでしょうね。その意味では、地球環境が壊れかかってる恐さはそのまま世界中に形を変えて跳ね返ってきてる…と実感しますね。何とか再度好転させたいものです。