「歳を喰わなければ、微笑の仮面は作れない」さらば愛しきアウトロー はるさんの映画レビュー(感想・評価)
歳を喰わなければ、微笑の仮面は作れない
リュック・ベッソンの「ニキーター」を思い浮かべた。
暗殺者の育成機関の教官であるジャンヌ・モローがニキータに気品について教えるシーン。
「気品」を作り出す方法はひとつ。それは「微笑」だ。
皺くちゃになってしまったレッドフォードは余りにも無残で痛々しい。が、微笑みは往年のあの頃よりもず~と良くなっている。それは独創的な銀行強盗、フォレスト・タッカーを演じていたからなのだろう。実在の人物が故に役者は演じることを躊躇する。模倣はモノマネでホンモノ足りえないからだ。模倣が本物を越えてしまうことは充分にあり得るが並み大抵の努力では不可能とされている。
レッドフォードはモノマネを排除し、銀行の窓口で行員に向かい気品に満ちた「微笑」で語り掛けるシーンに全身全霊を傾けたに違いない。
老いることは避けられない。誰しもがそうだ。
ならば、朽ち果てていく己の姿を楽し気に微笑みながら受容するのが肝要なのだ。
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