「そして伝説へ」さらば愛しきアウトロー masamiさんの映画レビュー(感想・評価)
そして伝説へ
私のレッドフォードとの出逢いは、遥か昔、まだリバイバル上映があった頃である。その作品は明日に向かって撃てだった。なんとか間に合った、初見が大画面で良かった。
ちなみに一番リバイバルされていたのは、小さな恋のメロディだ。ある年代のバイブル。トレイシー・ハイドは皆んな好きだったよね。
さて明日に向かって撃てだが、撃たれたのは
私のハートだ。モノクロの映像から、列車強盗のくだり、自転車でブッチとエッタが戯れる名場面、エンディングのストップモーション。
息を飲んだ。心が震えた。最高の映画だった。
快心の一撃だった。
まだ観てない方は、幸せ者だ。この楽しさを今から味わえるとは、羨ましい。
レッドフォードはハリウッドのメインストリートを歩いてきた。マネーメーキングスターだ。
しかし本質は反権力の人だ。そして常に市井の
人に目を向けている。
初監督作が普通の人々、そしてミラグロ、リバーランズ・スルーイットと地味なテーマばかり。
そして、サンダンス・インスティテュート主宰として多くの映画人を世に送り出した。
コーエン兄弟、ブライアン・シンガー、デミアン・チャゼルなどだ。
俳優としても偉大だ。オール・イズ・ロストでは全編一人芝居で過酷な撮影を乗り切った。
代償として片耳の聴力を失った。
レッドフォードの偉業を思うと、私の心はアフリカの果てまで飛んでしまう。夕日に向かって走りたくなってしまう。
さて今作だが、明らかにサンダンス・キッドを
意識している。もちろん強盗の話だからだが銃の描き方が明日に向かって撃てのボリビアで襲撃される場面を思い出す。
ピカレスクロマンだが、本当に優しい映画だ。
都内で3館.計4回上映なのでほぼ満席だった。
でも観て良かった。俳優は引退するが監督は
続けて欲しい。
復帰しても良い。
どの道、この人は伝説になる。