劇場公開日 2019年7月12日

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「忘れかけていること」さらば愛しきアウトロー ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0忘れかけていること

2019年7月13日
iPhoneアプリから投稿

「楽にではなく、楽しく生きたいんだ」
間接的に語られる、フォレスト・タッカーの言葉だ。

僕たちは、楽しく生きているだろうか。
仮に、そうでないとして、それを誰か他人や、社会のせいにして、自分から楽しむための何か行動を起こしてるだろうか。

ロバート・レッドフォードも、銀行強盗を肯定してるわけではないが、フォレスト・タッカーの生き方に、共感するものを見出したのではないか。
そして、それを最後の作品で伝えたかったのではないか。

どの程度の割合で、世の中の人々が、楽に生きるより、楽しく生きたいと思っているかは分からない。
だが、今、周りを見渡してみると、楽しく生きたいと思う人が多い方が、健全な世の中のような気がするのは、僕だけではないように思う。

フェイク・ニュースだ。印象操作は止めろ。悪夢のような民主党。忖度だ。ネトウヨにパヨク。

まあ、誰彼構わず、相手を否定するのがセオリーのようで、頭をよぎる罵詈雑言が、思考のフィルターを通さず飛び交うような世の中で、出来れば、楽に生きられる方が良いような気もする。

でも、せっかくだから、楽しむ努力は惜しまないようにしたい。
タッカーのように、銃は持っても使わず、周りに気遣いを欠かさず、スタイリッシュに紳士的に、そして、楽しんで生きようとするのは決して簡単ではないが、やりがいはあるような気がする。

画面もちょっとセピアがかって、カー・チェイスも鈍臭くて、でも、なにか痛快で優しい映画だ。
ロバート・レッドフォードならではの映画だ。

タッカーの脱獄の回想シーンに、ロバート・レッドフォードの過去の作品が散りばめられていた。
明日に向かって撃てと、スティングを初めて観た時の、ワクワク感がよみがえってきた。映画は良いもんだと思った作品たちだった。
きっと、楽しく生きようとする人が増える世の中が待っているような気がする。

ワンコ