蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
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原作同様に素晴らしい出来でした!
原作同様に素晴らしい出来でした とここに書けることが、とても嬉しいです! 是非、みんなも観て、感想を教えてください!ピアノに興味ない人も楽しめます(俺がそうだから) ある一つのピアノコンクールの予選から本戦を舞台に、「かっての天才少女は舞台から逃げた後8年のブランクを克服して再生できるのか」、「子供もいる市井のピアニストは、音楽学校で24時間ピアノ漬けの面々よりも優れた演奏が可能なのか」という2つのストーリーが繰り広げられる。そこに「完全に精密な演奏」と、「自由な発想」というテーマが縦横に絡み合って、ピアノを知らない俺でも、ずっとドキドキワクワクしていられました。 原作での主役四人のうち、二人だけに大胆に焦点を絞ったこともこの映画としては成功していると思う。 何がよいかの一つに、「ピアノが本物」がまず欠かせません。全ての曲を本物のピアニストが演奏しています。多くの人がこの映画を観て、より音のよいシアターでかかるようにならないかなあ。そしたらまた観に(聴きに)行こう! (世の中に実際にはない曲「春と修羅」は、四者四様のカデンツァ(即興演奏)含めて、この映画のために作曲され演奏されています。原作を読んだ方なら、文字から自分がイメージした曲と映画での曲を比較できるってわけです。 自分は原作を読んでいますが、未読でもこの話はすんなり入りそうだなと思いました。実際に未読の方が観てどうだったかも、是非聞いてみたいです。 エンドロール中の音楽、さらに最後の音まで堪能してください。タイトルが、腑に落ちるかもしれませんから。 最後に画面左下にそっと出る最終順位も、この映画のテーマとする理想と、現実を示していて面白いです。(こんなことを書く俺は、コンテストの本当の意味がわかってないってことになっちゃうか) -------ここから、ちょっとネタバレありです。書かずにはいれなかったので。観てない方は、観てから読んでください------- 栄伝亜夜の再生の物語が、風間塵、高島明石、マサル・C・レビ=アナトールという三人を触媒として、見事になされる姿をちゃんと描けていて、原作に沿って、焦点は絞り込むが、テーマはしっかり踏襲するという「忠実な映画化」だと思う。 触媒である三人もそれぞれにストーリーを構成している。高島明石は、やりきった充実感と共に "より優れた彼等" を身体で味わう。その上で「自分が演奏を続けることは、俺より彼等が優れていることとは関係なく、俺に許されていることなんだ」と心から思うシーンには、「止揚って、こういうことなんだ」と、こっちが教えられた。 マサルが、亜夜の母がまだ存命で、二人でピアノを習っていた頃の記憶というか体感を亜夜の記憶の奥から引き出す。明石が、演奏することの素直な喜び、そこにコンテストはあってもその本質は競争ではないのでは? という気付きを亜夜に共有する。塵が、母が亜夜の心に埋め込んでおいた「世界は、音で、音楽でできている」ということを引き出す。 塵が、一足先にそこにたどり着き、現在既に死去している故ホフマン先生に「先生、(それを心で理解しかつ実際に演奏できる "仲間" を見つけたよ」と報告するシーンは、目頭が熱くなりました。 ストーリーの中で、ピアノというもの、コンテストというもの、音楽というものに対する、読んでいるこちら側の理解を、少しずつ少しずつ深めていき、こちら側の心を、上記のラストシーンがストンと落ちるまでにしておく。この点が、原作の最大の価値とするならば、この原作に忠実な構成こそが、(実際の音楽にして見せる、ということと並んで) この映画の最大の価値ではないでしょうか。 家族持ちで市井のピアニストという明石の家庭という存在が、一つの重要な位置を占めている。彼という存在が無ければ、天才たちの苦悩にとどまり、観ている(読んでいる)我々が考える、という橋が架からなかったかもしれない。 例えば、カデンツァを披露した際の(素人である)妻のコメント「いろいろリサーチしたのはわかるんだけど、かえって重たくなっちゃった気がする」に対して、明石が多少困惑し憤慨しながらも、「そうか、わかった」と落ち着いて答えるシーン。ここだけで、明石の、人の声を受け入れられるニュートラルさが、観ている側に伝わる。かつ、市井のピアニストという位置を観ている側に確認させてくれる。 さらに、続く妻の「でも気にしないで。私なんか素人だから」に対して、「素人にも届くピアノを、俺は目指しているんだよ」と、やや語気荒く返すシーン。本作のテーマの一つである "コンテストは誰のためにあるのか、ピアノは誰のためにあるのか" という問いを観ている側に投げかける。それを感じるべきは、我々なのだ、 と。 小説という文字だけで想像させる表現を、映像化することでわかりにくくしてしまわず、そのまま伝えられていることは、監督及び松坂さんの、でかした仕事と思う。 -----------------------2019/11/1追記 蜜蜂や塵くんのくだりといった、今回大胆に省略された部分に関しては、琥珀さんのレビューをご一読されることをお勧めします。原作も読んでみたくなるかもしれません。 以下は、非常に楽しくかつ役に立ったやりとりの一部をレビュー内に残しておくものです。 私も、原作の音楽的な主題は、ホフマン先生が、塵という劇薬をこのコンテストに出場させることによって、皆が、つまり、審査員やコンテスタントや我々観客(読者)が、「過去からの名曲を完璧に演奏することだけがピアノの、音楽の真髄なのか」というテーマを考え始める、ということなのだと思います。琥珀さんの言う通りかと。作者である恩田さんの凄さは、たった上下二巻という分量で、読者をそこまで引き上げてしまう力だと思います。俺のようにピアノ弾いたことない読者まで。 ただ、それは私で言えば、原作を読み終える終盤頃から気づかされることでした。それでこの映画は、よりわかりやすい、亜夜の再生と明石の悟りをあえて中心におき、本来のテーマを最小限に抑え込んだのではないでしょうか? 原作を読んだ人にはそのテーマが理解でき、読んでない人にはそのテーマを理解するためのベースみたいなものを築き上げてくれる、という線を目指したのではないでしょうか。 それだけに、映画を観て、原作にあたる人は、そこでまた映画とは別の感動を得られるわけで、ちょっと羨ましく思える。 そして、「だったら、このメンバーのまま、まったく同じ話を、ホフマン先生と塵の側から、もう一本作って、俺たちに観せてよ(聞かせてよ)!」という思いは、とても強くなります‼︎ 11/17追記 そろそろ終了してしまいそうなので、再び観て来た。メールでお願いしてみるくらいでは、チネチッタ LIVE ZOUND での上映はやはり叶わなかった。残念だが、7.1chで満足しておくことにした。 「世界は音楽で溢れているね」「あなたが音楽を鳴らすのよ」というセリフにあらためて震え、最終審査のホールに亜夜は微笑んで入場したんだ、と大切なことに今更気づき、再び満足して劇場を後にしました。 ああ、いい映画を観た。
蜜蜂と遠雷
原作未読です。 「蜜蜂と遠雷」そのタイトルと本屋大賞を受賞した作品ということで映画館に足を運びました。 ピアノ関連のアニメ、映画、ドラマですとのだめカンタービレを2話ほどみたことがある程度のピアノ知識しか持ち合わせていませんでしたが、作中には我々のようなピアノをあまり詳しく知らない人にもわかるような表現がされているので見るに当たってピアノ知識は必要ないと思われます。 肝心の作品ですが、帰路に着いてから原作のネタバレを読みやっと理解することが出来ました。 映画だけで全てを理解するのは少し難しいと思われます。しかし決して駄作というわけではなく、音楽好きな方は魅了されること間違いなしです。 ピアノ演奏やオーケストラ演奏もあるので好きな方はより一層楽しめることと思います。 是非一度鑑賞することをお勧めします。
風間塵が素晴らしかった
天才 風間塵(鈴鹿央士)の存在が大きくこの物語を彩っていました 靴もボロ ピアノも音の出ないピアノで楽しそうに弾いてる姿に見事に心を持っていかれました。そしてマサル(森崎ウィン)は自身の演奏へのこだわりがとても強くて でも栄伝亜夜(松岡茉優)を見守る優しい幼な馴染みな一面もあり 紳士的な感じでとても振る舞いが素敵だと思いました 高島明石(松坂桃李)は家庭を持ちながら コンクールに挑戦する 応援したくなる存在です 栄伝亜夜(松岡茉優)が一番心を揺さぶられたのは風間塵(鈴鹿央士)の存在だと思います 月明かりの2人の練習連弾シーンは本当に素敵でした 上下巻を二時間に収めるのは無理がありますが これはこれで良かったと思います。
原作の受賞歴に惹かれて見てみたが・・・
原作の受賞歴に惹かれて見てみたが、クラッシック音楽ファンじゃなければあまり見る価値ないのではないかというのが、自分の感想。 馴染がない曲が大半でクラッシック音楽のファン以外には敷居がかなり高い。 コンクールで有力出場者は一部を除いてみんな仲良しこよしだけど、そんなもんなの?ごく一部しかプロとして生活できないのにみんなそんなに甘いの・・・ 手だけ切り離して(代役つかって)映像化してるけど、楽器を演じる努力しない役者さんには魅力感じないなあ(難しい曲含めて全部を演じろと言うつもりはないけど) 題名の意味がよくわからない(蜜蜂とは父親が養蜂家の息子さんのこと?原作未読です。) 詳しくない世界の話なので評価は甘目です。
主役はピアノだけど俳優陣もよかった
主役はピアノです。が、俳優陣の演技も素晴らしかった。本当にピアノを弾いているように感じました。 物語としては、文字にすれば結構単純な話。 ただ、ピアノの音と、雷や雨雫などの自然な音、無音などでストーリーに引き込まれました。 余計な説明はなく、役者の表情や、カメラアングルなどで、物語を表しています。 ただ、正直前半はとても眠かった。 その分、後半はピアノの音にもキャラクターの表情も良くなっていきました。 物語が単調だった分、演出と演技の妙を感じた。 また、ピアノが主役と思えると同時に、無音もとても多い。 テレビドラマでは出来ない演出だと思った。 個人的には、ピアノやクラシックはあまり知識はありませんが、ピアノの音楽は好き。 知識は必要ないかもしれませんが、ピアノかクラシックが好きでないと辛いかも。
原作を読んでいないので
わからないところもあるが、ギフトを通して、他の人が目覚めていく感じがよく伝わりました。でももう少しギフトっぽさがあってもよいかな。黒い馬のイメージは何でしょう?蜜蜂はギフト、遠雷は世界の音、馬はどこに絡んでくるのかわかりませんでした。指揮者がリハでブラームスの1番を頭からやりますが、プロなら2、3楽章あたりからやるのでは、振りもリズムでなくうねりでは、と指揮者の動きがやや不自然な感じでした。
「復活」するって感動的!
深く傷ついて長い間死んだようになっていたとしても、それほど深く傷つく鋭い感性をもっているからこそ、復活する時は爆発的だろうし、そのためにも少しずつ弱々しくとも手探りでも前に進んでいくことが大事なのだろうと思えた映画だった。 ピアノ曲の美しい旋律、雨、遠雷、どこか世紀末的な海の向こうの深い雨雲と稲光、月夜の美しい連弾、亡き母との甘美な思い出、ライバルでも優しく純粋な仲間。 ピアニストを題材の映画として、訴えかけてくるものが沢山あった。 どんなピアニストになりたいかも皆それぞれ違い、その中で悩み、限界を越えようと力を尽くし、時には助けたり共に楽しんだり。 苦しくてもギリギリを耐えて越えた先には素晴らしい復活、新しい世界が待っていることもある。 日々を諦めずにいこうと思えた映画で、観て良かった。 目に耳に心にくる映画だった。
#蜜蜂と遠雷
震えました。 そして、泣いてしまいました。 それぐらい、素敵な作品でした。 原作も素敵な作品です。 なので、映画化と知って、 どんな音楽なのだろうと 好きな作品だからこそ、 不安がありました。 でも、 本当にやってくれました! どのシーンもどの音楽も どれもすばらしいですが、 わたしが好きなものは2つです。 1つ目は、 第二次、菱沼忠明「春と修羅」のカデンツァ部分 明石さんの「あめじゅとてちけんじゃ」が 家事をしながら口ずさむ そんな優しいメロディが 今でも耳に残っています。 2つ目は、 本選、プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」 栄伝さんの演奏!!! もちろんストーリーやシーンも よかったです。 でも、 演奏!!!!! 迫力があり、強さがあり、 心の弱さもある。 涙が流れてしまう演奏でした。 CDがほしい!!
天才がいっぱい!本物は誰?
原作未読なので想像です。 アヤちゃんを覚醒もしくは復活させようと集結した二人の天才。もちろん誰かの意向が働いて。幼馴染と異端児。その相乗効果で自信と過去と向き合う姿勢を取り戻すアヤちゃん。見事なエンディング。震えるような感動のエンディング。 松岡茉優ファン目線ですいません。 是非映画館で🎦
内面描写の難しさ
原作は、直木賞と本屋大賞をダブルで受賞した傑作小説である。非常にユニークな作風で、ピアノコンクールという題材のため、記述のほとんどは登場人物の内面描写に割かれており、目立った動的な場面はなく、曲の解説も触り程度に過ぎない。だからといって、読者をクラシックのピアノ曲に詳しい人に限定するような内容ではなく、詳しい人にはより面白く、詳しくない人にもそれなりに楽しめる作品になっていた。 音楽演奏のステージに立ったことがある人や、さらにコンクールに出たことがある人には身につまされるような記述が多く、どちらの経験もある私は非常に実感を伴って楽しく読むことができたが、こんな内面描写ばかりの作品をどうやって映画化するのだろうと、興味深く鑑賞した。同じピアノでも別の人が弾くと全く違う音がするというような表現は、小説ならば簡単だが、映像と音で観衆に感じさせるのは至難の技だからである。 尺の関係で人物が端折られ、エピソードも間引かれるのは仕方がないのだが、常人とは違う天才たちが互いに影響し合って更に高みに上るという物語が、主人公が過去から立ち直るというだけの話になってしまっていたのが非常に残念であった。風間塵という特殊な才能の持ち主が、触媒のように他人の演奏に影響を及ぼし、特に主人公の栄伝亜夜が立ち直るための絶大な貢献をするのであるが、この映画の物語では塵と亜夜の関係がやや薄くなってしまっていたのも残念であった。 原作では、亜夜と高島明石が初めて会った時に互いを認め合って訳もなく二人で号泣するという非常に胸を打たれる場面があるのだが、映画が始まって間もなくこの二人が出会ってしまうのを見て、あの素晴らしいシーンが見られないのかと非常に失望した。それに代わるシーンが特に用意されていたわけでもなかったので、かなり物足りない話になってしまったと思った。 ピアノコンクールの映画といえば、1980 年のアメリカ映画「コンペティション」が思い出される。リチャード・ドレイファスとエイミー・アーヴィングの素晴らしい演技は、40 年近く経った今でも記憶から薄れることはない。あの映画でも印象的に取り上げられていたプロコフィエフの第3協奏曲は、本作でも大きく取り上げられていたところに既視感のようなものを感じて懐かしかった。 原作と特に大きく違っていたのはオケと指揮者との絡みであった。ピアノコンクールの本選であんな意地の悪い指揮者がいる訳がないし、練習を開始して流れてきたのがブラームスの第1交響曲だったのには何の意味があるのか全く分からなかった。更にモーツァルトのレクイエムの演奏も何故出てくるのか謎であった。 1次と3次予選の場面がほぼカットされていたのは尺の関係でやむを得なかったのだろうが、そのために、物語の流れが全く違ったものになってしまったのではと思えてならなかった。2次予選で出てくる委嘱作品の「春と修羅」というのは架空の作品であるが、映画ではきちんと聴かせてくれたのが一番嬉しかった。ドビュッシーとキース・ジャレットを掛け合わせたような作風は原作のイメージを損なわなかったと思う。また、各奏者のカデンツァの部分も非常に聴き応えがあった。 亜夜を演じた松岡茉優は、原作のイメージ通りで非常に良かったと思う。ピアニストの役は横から撮られることが多いので、横顔が美しい人が相応しく、その点彼女なら文句なしであった。塵役の鈴鹿央士は新人だそうだが、原作のイメージを損なわない良いキャスティングであったと思う。ピアノ演奏の演技は、ドレイファスやアーヴィングには及ばず、「のだめカンタービレ」の上野樹里や玉木宏にもやや及んでいなかったのはちょっと残念であった。 劇中曲はバッハとベートーヴェンとショパンが最初の方でサラッと出てくるだけで、モーツァルトやブラームスやリストやラフマニノフが全く出て来ず、ほとんどプロコフィエフ とバルトークがメインというのは、あまりに偏っていたのではないかと思った。 演出は、ピアノ演奏のリアリティがイマイチで、オケと指揮者によって与えられるプレッシャーという部分にやたら力を入れ過ぎていたところに違和感を覚えた。途中、手持ちカメラで画面を揺らすシーンがあったが、全く必要性が感じられなかった。原作を読まずに見た人の方が楽しめたのかも知れない。 (映像4+脚本3+役者4+音楽4+演出3)×4= 72 点。
すごかった
原作を読み始めた時、正直ピアノのことがよくわからないので途中で嫌になるかなと思ったが、話に引き込まれ、分厚い本だったけどあっという間に読み終えた。 それが映画化されるということで、とても楽しみに。 想像の世界でしかないピアノの音を聴けるのだから、と。 ただ、やはり私には明確な違いはわからなかった…。 それはさておき、作品は良かった! 松坂桃李演じる、年齢ギリギリのコンテスタントの「完敗」という言葉は胸に響いた。同時に、やはりピアノが好きだという言葉も。 原作だけの時より、全員を応援したい気持ちになっていた気がする。 オーケストラとの共演が素晴らしかった。ピアノはわからないけど、音楽はいいな、と。 全くの余談だが、指揮者役の鹿賀丈史さんのお腹に目が釘付け(笑)
ガチの音楽映画でした
恩田陸は好きですがこれはまだ読んでいません。 4人がここに来るまでの物語がもっと見たかったですが それをやったら4時間の映画になってしまう。 逆に楽曲をほとんどフルで演奏しながら それほど駆け足の感じもしなくて、よくぞ2時間にまとめたと思いました。 それにしても松岡茉優さん、 同年代の女優さんに比べてちょっと出遅れた感があったのですが 立派な俳優さんになりましたね。
原作のファンも納得の、予想より上々の出来栄え
恩田陸原作の映画「蜜蜂と遠雷」をTOHOシネマズ日比谷で鑑賞。 本作で直木賞を獲った(受賞は遅すぎたが)恩田陸の作品は殆ど読んでいるが、大変読みやすい文章を書ける稀代のストーリーテラーである。特に発想と設定のユニークさは天下一品で、あまりに奇抜過ぎて後半で巻き取りきれないことがあるのが欠点だが、本作はかなり収拾しきったので、文壇で評価されたのだろう。 ただ、映画化については正直、期待してなかったのだが、思いのほか、上々の出来栄え。とくに、栄伝亜夜役の松岡茉優と、風間塵役の鈴鹿央士との掛け合い、ピアノ連弾や控え室でのすれ違いなど、本当に見事で感動した(^^) 松岡茉優はマスコミ対応でちょっと損をしているが、やっぱり上手いと思った。そして、鈴鹿央士はまさにハマり役、風間塵にびったりである。原作読んだ人は、ここまでリアルにぴったりな配役ができるとは思わなかったはず。 映画としては、始めの入り方は若干心配になってくるペースだが、コンクールが進行し、前述した亜夜と塵の連弾のころから、画面に引き込まれて、脇を固める斉藤由貴や鹿賀丈史、平田満もさすが味わい深い演技。 絵のタッチが日本映画ぽくないなあ、と観ていたら、監督はポーランドで学び、カメラマンもポーランド人、たしかにカメラワークはヨーロッパっぽいタッチで見応えあり。 馬のイメージだけが、ちょっと賛否のわかれるところか(^^;; 実際のピアノ演奏は、河村尚子をはじめ、さすが今、脂の乗り切った日本の若手一流どころ、全く違和感なく演奏に引き込まれた。 あの長大な原作をよく2時間に仕上げたものである。もちろん、小説の表現技巧ほど、コンテスタントの演奏の凄さを表現しづらいのはあるが、全体として望外の出来栄えである。 音楽をテーマとした小説の映画化の困難さを鑑みると、若干甘いが五つ星を付けてもよいだろう。まずは原作を読んでほしいが、映画としてもおすすめである。
原作を
読んでいたので、脳内で補完しながら鑑賞しました。 潔く端折り過ぎ?と思ったけど、原作未読の家族も楽しめたらしいので、うまくまとまっていた方ではないでしょうか。 亜夜のお友達には、いて欲しかったケド。
【世界は音楽に溢れている。美しいピアノの音色と個性的な若きピアニスト達の真摯に音楽に向き合う姿に魅入られる】
鑑賞後、清々しい気持ちで劇場を後に出来る作品である。 楽しみにしていた”カデンツァ”の部分も成程、そう来たかという驚きと嬉しさとともに拝見させていただいた。 生活音:野菜を刻むリズミカルな音。幼子と父が遊ぶ中で生まれる音・・ 自然音:この映像作品でも重要な場面で効果的に使われていたが 雨音、雷鳴、雫の滴る音・・ 日々生活をする中で、奏でられている崇高な音に如何に無頓着であったことか・・に気付かされる。 妻と幼子と暮らす背水の陣でコンテストに臨んだ高島(松坂桃李さん 良い役者さんである、指が綺麗である)が漏らした”生活者の音楽は・・・”というセリフに 〈健全な家庭生活を過ごす中、仕事をする中で生まれる音程、尊崇な音は無いんだぞ〉 と思いながら観ていたら彼も劇中、それに気づいた感が伝わり嬉しく思う。 ◆印象的だった場面 ・栄伝(松岡茉優さん どんどん素敵な女優さんになられていく)と風間君(柔らかな笑顔が素敵な少年、鈴鹿央士さん)が月光が降り注ぐ中、楽しそうに連弾する姿 ・マサル(森崎ウィンさん この人も指が綺麗)が、世界レベルの指揮者、小野寺(鹿賀丈史さん:顔が悪代官風で怖いが人は見かけで判断してはいけない)率いるオーケストラとのセッションでの最高の演奏を求めるが故の遣り取り ・栄伝がコンテスト本選まで残ったのに、過去のトラウマによるプレッシャーが原因なのか、会場を去ろうとした際、彼女を引き留めたモノ。 ・コンテスト全体のスケジュール管理するベテラン田久保(平田満さん 良い役者さんだなあ)の若手ピアニスト達を見つめる優しい視線 クラシック音楽コンクールで演奏される数々の曲を超絶技巧、豊かな語彙で文章化した恩田陸の傑作が原作であるが、この作品はその原作をどのように映像化したのかを観るのを楽しみにするのも良し(僭越ながら、私:原作と色合いが違うとかという考えは持たずに鑑賞。これは、映画であるので、そこに制作陣の想いが入るのは当然。) 純粋に、若手ピアニスト達のピアノコンクールに臨む各々の姿を楽しみに観るのも良し。 <ピアニスト達及びオーケストラの奏者たちが演奏する姿が素晴らしく、実に美しいクラシック音楽映画であるが、若手ピアニスト達の成長物語でもある。>
雨音はショパンの調べ
皆さんは「鈴木先生」を知っていますか? 2011年にテレビ東京で放送された、ドラマです。なにしろ視聴率が凄い。なんと・・・ 平均2%‼️ ゴールデンのドラマ最低記録だ! 田畑智子、富田靖子、でんでん、など有名な人はいるものの、いかんせん主役の先生が無名の 長谷川博己という人。 あんた誰? 生徒役も無名。美山加恋はいません。中学生役で、北村匠海や土屋太鳳という人が出演していました。知らねえよ!クソ子役ばっかかよ!! しかし・・・ ため息をつく瞬間に世界地図は変わっていく! 今名前を、出した方本当にごめんなさい。逆に、これを読んでる方、全員知ってますよね? 長谷川博己は来年の大河ドラマ主演だぞ! 土屋太鳳は朝ドラ主演、北村匠海は「君の膵臓を食べたい」からすげえ売れっ子! 雨、雨、権藤、雨、権藤かっ! たとえがふるーい!(私もよく知らん) 私がクソ虫だった。そしてもう一人凄い人が いた。(文脈で、バレバレだが・・・) 松岡茉優だーーー‼️ 参ったか!(誰に言ってるんだ?) 何故私が見ていたか?それは日刊スポーツの梅田恵子さん(何故、さんづけ?)が褒めていたからだ。この方の眼力は流石すぎる。次は亀和田武さんと吉川潮さん。 テレビドラマの話が多いんじゃ!(何故岡山弁?) まあ伝説のドラマだったのは間違いない! また見たい! さて本作は完全に松岡茉優を主演にすえた、音楽劇である。この人はマジで凄すぎる! 表情の一瞬の変化で全てが観客に伝わる。 佇まいが凄い!カルタクイーンになるとそれにしか見えない。背筋が伸びている。 バラエティ番組でも的確。隙がない。バラエティタレントを演じているのだ! ナチュラルボーンアクトレス。 音楽映画なのに音楽に言及していない?それは 何故かと言うと・・・ なにを、言ってもネタバレになってしまうんじゃ!こちとら打たれ弱いんじゃ!(何故岡山弁?) 本当に良かった。泣いた。音楽は国際語!そして笑顔も国際語!しぶこ最高!(突然ゴルフネタ?) だからみんなに観てほしいんじゃ! (だから何故岡山弁?)
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