「蜜蜂はどこに行った?」蜜蜂と遠雷 ripc02さんの映画レビュー(感想・評価)
蜜蜂はどこに行った?
コンクールに臨む4人のピアニストの物語。
それぞれの背景をまるでドキュメンタリーを見ているような演出で描写
それぞれ異なる手法での演奏シーン
ほんとうに演奏シーンは圧巻でした。
クラッシック音楽になんの造詣もない自分でも
最後の亜夜の演奏シーンでは息するのも忘れるほどの迫力でした。
あの原作をとてもよく練り上げられた脚本と編集で2時間という枠の中に上手に収めたのは
素直にすごいなと。
でもなんです。
原作を知っている一観客としてはちょっと置き去りにされてしまったような
この物語の主演のひとりはあくまで「蜂蜜王子」でもあり
すべての既成概念を壊す象徴として塵が描かれていたと思うのです。
原作者の恩田さんが描いたものは亜夜の覚醒復活物語だけではなく、ホフマンが残した「ギフト」も大切な主役なんだと思うのです。
この脚本だと蜜蜂も遠雷もみえてこない
水平線の向こうに見える雷雲も安直な描写だなと感じてしまう
雨の馬の描写だけでは、残念ながら亜夜が幼少の頃に聴いていたギャロップが聞こえてこない
無数に飛ぶ蜜蜂を音符に例えて、その蜜蜂から聞こえる羽音が音楽を奏でる
世界は無数の音楽に溢れているという情感が沸いてこなかったのが寂しいのです。
個人的に映像として見たかったものは
復活の亜夜に「お帰りなさい」と声をかける田久保寛であり
亜夜の演奏に胸がいっぱいになる奏が存在する物語でした。
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