「終始、説明的なドラえもん映画だった。」映画ドラえもん のび太の月面探査記 天秤座ルネッサンスさんの映画レビュー(感想・評価)
終始、説明的なドラえもん映画だった。
真っ先に浮かんだ感想は「説明的」だった。映画の世界観や設定やストーリーの細部をとにかく説明して説明して説明しながら話を進めていくような感じ。お子様でも分かるように噛み砕いているという風でもなく、その上、説明すればするほど設定の粗をかえって悪目立ちさせてしまって、映画の楽しみをむしろ妨げていたとさえ思う。いつものドラえもん映画の、童心に帰ってワクワクしながら観る感じが今回はなかった。
ドラえもん映画はそもそもあり得ない世界のファンタジーの漫画だし、無茶な設定なのは重々承知。しかしその無茶な設定やその世界観を、映画を観ている間だけでも信じさせてくれないと映画は楽しめない。今回はクライマックスの感動のシーンですら説明台詞が続くのでまったく驚いてしまった。「友情」や「想像力」といったテーマにも言及しているけど、それさえもとても説明的な描写でかえって冷静になってしまい感動しきれないでいた。
いっそ下手に詳細を説明せず、曖昧にしておいくれた方が細部の粗まで目を向けずに単純に観られたのになぁというのが素直な感想だった。
加えて、クレしん映画の「ユメミーワールド」を見ても思ったのだけれど、私はいわゆる「仮想世界」を描いた作品にいまいち乗れない部分があるのかもしれない。現実世界(月面で実際に生活しているルカたちの存在)と仮想世界(のび太が作ったウサギの王国)の在り方にどんどん齟齬を感じてしまって・・・なんてドラえもん映画を見ながらこんなことを考えるつもりなんてなかったんだ、本当は!
「深く考えなければ楽しい」と言ってあげたい気持ちもあるけれど、映画自体の説明臭さが「深く考えずに観る」ことを許してくれなかった。
あくまで個人的な感想として、今年のドラえもん映画はややハズレ年かな。