「余命もの」君は月夜に光り輝く やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
余命もの
まず最初に、余命ものの青春恋愛映画に対しての個人的な考えを。
私は、このジャンルの映画に闘病シーンのリアリティはそれほど求めません。
苦しんでいる所を、あんまり観たくないから。勿論、ある程度の描写は必要だと思うけども。
死ぬ間際でも、人を好きになった時は、輝いていて欲しいかな。
それと、私は中年男ですが、もし自分が若い女の子だったらと考えると、好きな人には苦しんでいる姿より輝いている姿を焼き付けて欲しいと思う気がします。
なので、映画の登場人物もそうなってくれるといいなと。
だから、終わった時に苦しんでいるシーンより、キラキラとしたシーンが印象に残る映画の方が好きです。
そしてこの映画の場合も、輝いているシーンと苦しんでいるシーンのバランスが、とても好みでした。
それで、この映画の特徴は発光病という設定にした事ですよね。
もっとリアリティのある病気にしても、ストーリーは成立していました。
でも、発光病の設定にする事で、闘病のリアリティをさほど求めなくてよくなりました。
この設定のおかげで、美しく死なせてあげる事ができましたね。
さて、この映画の印象です、ユーモラスな場面も有りますが、主演が北村さんなので全体的に落ち着いて感じました。
北村さんの雰囲気と声、このタイプの映画にはピッタリだと思います。
それから永野さん、変な表現になりますが、しっとりとした雰囲気に感じました。
いろいろな表情が染み入る様に、落ち着いたこの映画に溶け込む感じで。
そう感じさせてくれたからでしょう、ラストのデートシーンは、それは現実ではないのだけど、嘘ではない輝いた表情に見えます。
人生の最後に、人生で最高のキラキラとした気持ちを、彼女は、そして彼も経験できたのだと思います。
脇役の、そして若い二人の主役の演技がとても良い映画だと思いました。
最後に、SEKAI NO OWARIさんの主題歌も切なさと暖かさのバランスの良い、この映画に合った曲だと思いました。