「モータウンサウンドからいきなりDEEP PURPLEの「Hush」が聴ける♪」ホテル・エルロワイヤル kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5モータウンサウンドからいきなりDEEP PURPLEの「Hush」が聴ける♪

2019年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 時代はニクソン大統領在任時、TVではベトナム戦争について語ってる。カリフォルニア州とネバダ州の境界線上に立つホテル・エルロワイアル。ロビーは豪華だけど、ホテルマンは1人しかいなくて、どことなくモーテルの雰囲気。しかし、境界線上にある意味はほとんどなくて、間に隠し廊下があり、各部屋はマジックミラーから覗けるようになっている。

 そこにやってきた怪しげな神父ダニエル・フリン(ジェフ・ブリッジス)、売り出し中の黒人歌手ダリーン・スウィート(シンシア・エリボ)、掃除機の営業マン、ヒッピー女。互いには全く関係のない宿泊客。営業マンのララミー・サリバンはFBIっぽい捜査官で盗聴器を仕掛けようとして逆に盗聴器を発見する。そして神父は10年前に強盗した金が床下に隠されているのを見つけようとしているという二つの軸。しかし、物語はとんでもないカタストロフィを迎えることとなる。

 どことなくタランティーノ臭が漂う映像で、ヒッピー女エミリー(ダコタ・ジョンソン)が妹を監禁している光景を覗いてしまったサリバンが銃で撃たれることに端を発し、全員が関わってしまうことになるのだ。ただ、ヒッピーの親分(クリス・ヘムズワース)がやってきて、無茶苦茶にしてしまう辺りはグダグダ感満載。ウォーターゲート事件を匂わす社会派要素もあるのに、上手く機能していないのが残念だ。

 しかし、そんな脚本の破綻はシンシア・エリボの歌によってすべて払拭された気がするのです。男に騙されながらも歌手として成功しようと、色んな場面で歌い続けているのですが、ほぼアカペラ。フォートップスやフランキー・バリの曲などモータウンの代表曲を歌う彼女がとてもいい。ヒッピーのドンが歌え!などと命令して「アンチェインド・メロディ」を歌うのもいいし、ジュークボックスからディープ・パープルが流れるのもいい。いきなりベトナム戦争のシーンが描かれるのよりも印象に残った。

kossy