エリカ38のレビュー・感想・評価
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樹木希林の遺作。
出資法違反で逮捕された山辺節子をモチーフにした作品。
カンボジアに小学校を建てる、マグロの養殖など巧みにお金を多くの人に出させて、自分はタイで若い男相手に豪遊する。
自分も出資者・被害者という聡子に、明らかに噓くさい経歴を並べる平澤。
どっちが悪いのかというと、両方である。
出資をお願いする時は説得力ある話し方、詰め寄られた時には決して挑発には乗らず、のらりくらりと適当にかわす話し方。良くも悪くもその才能を使うところを間違った。
浅田美代子は年齢はいってるが、若作りで頑張っているという点では今回ははまり役であった。
樹木希林のほとんどセリフはないものの、華やかな聡子の母親とは思えない質素で古ぼけた感じはこれまでの生き様がすべて現れている。
詐欺だと見破り、騙されない眼を養うことが大切だね。
樹木希林の想い
こんな60過ぎの少し派手なおばさんに何で皆騙されるんだろうって覚えていた実在の事件をベースにした話でした。浅田美代子が本当に詐欺師で小悪魔的な熟女を好演している。愛人役平岳大は本当に居そうな大物詐欺師に思える位ハマってた。父親や、愛人、信じていた人物に裏切られた経験から、金だけは裏切らないと、金集め=詐欺行為に邁進するエネルギーは凄い。金返せと出資者から詰め寄られても、びくともしない厚顔ぶり。しかし、やっぱり彼女も人間、タイの恋人には心を許し、安らぎを求める。しかし、恋人にも大きな屋敷を与えるなど、金で繋がった関係なのかも知れない。恋人には実は恋人がいたという現実。樹木希林が伝えたかったこと、金は裏切らないけど、人の心までは買えない。ということなのだろうか。
良作だと思う
・平沢の胡散臭さがすげー!
平沢が何股もしてることに気づいて、彼を裏切ってタイへ逃亡、か……平沢なんなんだこいつ、と思ってたので多少スッキリする自分がいた。
・平沢とエリカ父、それぞれのキスシーンの気持ち悪さ。癖とか出る場面だろうから俳優さん二人には申し訳ないんだけど、すっっっごい吐き気!!
・「浅田美代子が全く美しくない」というレビューをちょいちょい見たけど、別にそこはいいんじゃないかと思った。
だって元となった容疑者も美しくないし。どうあがいても、どう詐称しても歳は出るというか。年齢際立たせてくれたほうがリアリティーあると思うので私は好き。
・43年前の母親が、なんか樹木希林さんとはかけ離れた感じだったのが気になった。樹木希林の若い頃担当の女優なんてやっぱいない、となったのかもしれないけど、あまりにも違ってて…。
・ポルシェ!!
実際の年齢知ってたとか、その他純愛ぽいことを言っておきながら、聡子にもらった金は使い、彼女も作る。けど聡子に手紙で愛を語ってみたりする。あの家で待ってると言いつつそこには新しい彼女と住んでる。どうしようもないたまらん展開だった。
・エンディングの被害者の実際の声、「渡部」って言ってるけど、実際と言いつつ台本てこと?混乱したけど、こういう風にお金を取られた被害者ってこういう感じなんだろうな、っていう、これまたリアリティーがすごかった。
本編で出てくる、聡子を問い詰める場面も良い。すごすぎて、正しいことを言ってるはずなのに引いてしまう。「一般人」の表現がうまくて。お金を取られた側の人たちに嫌悪感みたいな感情すら湧く。気持ち悪くなるけど名シーンだと思う。
・窪塚俊介の適材適所
あの子はどこの子・・・美代ちゃん
小生にとって、美代ちゃんは美代ちゃんなのである。
すでに天命を知る年齢となり、美代ちゃんが還暦を過ぎたからといって、四十有余年、それは変わらぬのである。
美代ちゃん、耳順う齢となり、美代ちゃんはキンバァサンの教えに従ったのである。
実はその前、美代ちゃんは、「赤トンボ」を歌っていたのである。いや間違えた。「赤い風船」であった。
「あのこはぁ、どこの子、こんな夕暮れ〜」けんちゃんやまりちゃんに比べて、一層音を外していた美代ちゃんは、小生の心のオネェさんだったのである。その声は浜子さんには届いていたであろうか。
とまぁ、小生の思い出話はこれぐらいにして。
この映画、まぁまぁよくできていたと思う。金欲という最も単純な人間の姿を、極めて単純に、それでいて滑稽に描ききっていた。そこに、渡部の履歴を垣間見させて。
また、第三者から見れば、明らかに胡散臭いと思われる渡部の「勧誘」も平澤の「口上」も、その内容は、よく聞けば内容はてんで空っぽの、そして矛盾だらけのものであるにもかかわらず、その話乗ってしまう金欲に塗れの者達の姿も、またその言い訳三昧も、オーディエンスがそれを蔑む対象となるような演出であったし、そもそも、舞台的な設定として脚本は非常によく書けていたと思う。
ここまでは・・・。
しかし、
確かに実話では「海外逃亡」、そして現地での逮捕だったのであり、その年齢故「ニュースバリュー」があったと思うが、この映画では「タイ編」は不必要であったと思う。
ポルシェくんでも、フェラーリくんでも、ランボルギーニくんでもいいのだが、この展開だと、主人公の過去の体験から身に染み付いた捻れた猥雑な人間性を、人恋しさという直線理解に回収させてしまう。これではつまらない。
せっかく、最後の渡部のアップシーンを描きたいというのであれば、別の展開でそうさせるべきだった。護送車内の彼女の表情にエンドロールの「声」に被せてもよかっただろう。
#小生、朝起きて、隣に美代ちゃんがいたら、それはそれで幸せですが・・・(笑)
圧倒…!!!
とにかく、浅田美代子さんの怪演?に圧倒されてしまいました…。普段あんなにふざけてるのにこんなに素敵な女優さんだとは知らなかった…
そしてとにかく綺麗…!!!スタイル抜群ですね。女から見ても惚れ惚れします。
直接的な表現はなかったですけど、父親から虐待されてるようなところとあと最後に外国の男性と一瞬ではあったけど幸せな時間を過ごしているところ
悲しくて涙がボロボロ出てしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
多分、罪的にはそんなに重くないから何年かしたら出てこれるんでしょうけど多分一生幸せにはなれないんだろうな…なんか自分の末路を見ているようでちょっと怖かったですw
にしても!外国の男、すぐに新しい恋人つくるってヒドくないですか?
あとしずちゃんが意外に良かった
もう一回観たい。スルメ映画かも
万人ウケしない人間の生々しさ
映画を、綺麗なもの、驚きや感動を与えてくれるもの、という視点でとらえている方にはオススメしません。
監督は、人間の生々しさを表現したかったんだろうと思いました。
俳優に寄りすぎと思われるカットや、暗めの照明など表現方法が独特でした。
それは万人ウケしないと思い、好き嫌いも分かれるものだと思いましたので、安易に人にオススメできないと思いました。
「樹木希林の遺作&初プロデュース」に釣られて、普段からドキュメンタリーやメジャースタジオ以外の映画を観ない方が観てもピンとこないだろうと思いました。
印象深いシーンは、
豪邸の隅の母の部屋と思われる縁側で、ホームセンターで売っているような胡散臭い洋風のガーデン椅子に座りながらタバコ片手に呟く。
「おかあさん、一緒に死のっか」
母は縁側の窓のそばのベッドに腰掛けで、不釣り合いな華美な服装、装飾品を付けた姿で爪に真っ赤なマニキュアを塗りながら答える。
「あたしはいいわよ」
ちょっと薄暗いことに手を染めてお金が手に入り、人生が上向いてきているという幻想の只中で、こんなはずじゃなかった、何がきっかけでこうなってしまったのかと、一人の人間として人生を振り返ることは大なり小なり誰にでもあることだと思います。
どうしても居心地の良い、谷の方に落ちていってしまう。
主人公がそんな「人間のどうしようもない性質」を表現し、樹木希林さん演じる母は、それを責めるでもなく、時には力も貸し、離れたところから見つめ続けるという役に徹していたことが心に残っています。
うつろ
希林さんを見たくて鑑賞。
結果、お会いした事はないんだが、隣の席に座りポツポツと独り言のようなお喋りを聞いてるような気分になった。
脚本には監督の名前のみがコールされていて、この脚本を希林さん抜きで書き上げたのなら、恐るべき御仁であると思う。
作品は実話を元にした詐欺事件を通して進んでいく。信用詐欺とか何らかの名称はあると思うが、お金を騙しとられた話だ。
なのだが、どおにもテーマはそれじゃない。
人間って基本馬鹿なのよ、って話に思える。
何を求めて生きてるのって?
もっと言えば、求めるものって何かあるって?
この作品のただ一つを除いて実像を感じないのだ。
お金もそう。他人もそう。人との繋がりだってそう。食事もワインも、全ての物質や感傷までも。
自分が死ぬまでの間に浪費してる時間の途中に、目の前を通り過ぎていくよく分からないものに見えてくる。
執着するものなど何一つない、と。
「なんか適当な名前をつけて分かってるフリをしたいだけなのよ。」
そんな事をサラッと言ってのけてケタケタ笑う希林さんが隣にいるような感覚。
そう思わせてくれた監督にも浅田さんにも敬意を表する。
「金を返せ」と捲し立てられるシーンがあるんだけれど、飄々とした浅田さんの受け答えのせいで小鳥がえらい剣幕で鳴いているようにしか思えない。
いやいや、とんでもない極悪人のはずだよ。他人が人生賭して稼いだ大金を騙し取ってんだから。でも何なんだ、この浮遊感は。
エリカは悪びれる風でもなく、困った風でもなく、取り繕う事もせず、勿論、謝りもしない。追い詰められてる感さえない。常時ニュートラルだ。
何か全てがそんな感じで、全ての既成概念が塗り替えられていく感覚。
ただ困った事に、彼女自身を悪人とも思えないのだ。どちらかと言えば、彼氏を信用してついていった結果のようにもとれるのだ。
それ以外の事を全く無視できるってのは、精神異常の部類に入るとは思うんだが。
唯一実像があるのは、コレで「体温」
自分の肌という感覚器官を刺激してくれる体温。コレにだけ実像を感じてた。
でもレビューを書きながらに思うのは、その体温でさえ、それ自体を求めてるわけではないのでは、と思う。
鏡に映る自分を観てるような。
愛しいひとに微笑みかける自分を、その人の存在を通して確かめてるような。
そう思うと、確かに存在するってのは自我だけであって、それは自分一人では確かめようがない厄介極まりないものにも思う。
ラストカットは無表情のエリカの顔だったように思う。
その顔は、若干若く見えて38歳のように見えた。年齢なんて記号以外に意味はなく、年相応なんて余計なお世話と言われてるようだった。
断捨離なんて言葉があるけど、この映画を観た後だと、そんな言葉や行為さえ捨ててしまえば?って思う。
なんせ、こんな感覚は初めてだ。
人の死でさえ「初めから決まっている事なのに何を今更悲しむ事があるの?」って言われてるようだ。
「もう居ないって思わされてるだけかもよ?」
そんな禅問答を朗らかな調子で話してる希林さんを感じた映画でした。
エンドロールのバックに流れるのは実際の被害者たちの声だった。
これはこれで衝撃的だった。
4:3のフレームは気にならなかったけど、敢えてそうしたのには意味があるように思えてならない。例えば「昔は当たり前だった。でも今は違うし、初めて目にする人もいる。変わらないものなど何一つない」みたいな。
照明はもうちょい明るい方が良かったんだけど、フィルムっぽい質感を見るに、あまり明るくしたくない理由があるようにも思えた。
表題の「エリカ38」を「実在しない」とか「幻」とか「錯覚」と訳せばなかなかに優れた題名だと思える。
木内みどりさんが、最高だった!!
アイドルだった人だからこそ出来る名演
完全に「機が熟した」のを感じた。浅田美代子さんのこと。70年代にアイドルとしてデビューして良くも悪くも男性ファンに「媚びを売る」ことを生業にした後、女優として着実にキャリアを積み上げた。樹木希林さんの主演映画「あん」に短いシーンで登場するのを見た時「女優」として見事に熟しているのを感じた。希林さんが浅田美代子さんのためにこの「エリカ38」を企画し、この難役をぶつけたと言う話は私にとって大いにうなずけるものだった。だって私も「浅田美代子は、世間が思っている浅田美代子じゃないんだよ。浅田美代子はもっとすごい女で、もっとすごい女優なんだよ」とずっとそう思っていたから。しかも演じるのが数年前にニュースで「つなぎ融資の女王」などと呼ばれて話題になった女。60歳で38歳と騙って詐欺をはたらいた女。浅田美代子がこの役をやるなら絶対に観たい!と思った。というか逆に、浅田美代子以外の誰にこの役がやれるだろうか(大竹しのぶさんは別格よ)。
浅田さんの演技はやっぱりすごかった。浅田さんの人生の歴史がこの演技に集約されるかのようにさえ思った。アイドル時代に培った男たちを魅了する魔力と、女優人生で培った演技力と、着実に人生を歩んできた顔と肉体。そこに溢れる女性としての可愛さと怖さ。アイドルを経て結婚と離婚を経て天然キャラを経て女優として開花し今なお可愛い浅田美代子でなければ表せないものが、この映画とこの役には確かにあったなと思う。
その一方で惜しいのは映画自体の内容の方で、エリカが犯罪に手を染めていくその過程と言う意味でも、その間のエリカの心理と言う意味でも、もしくは犯行の裏に隠されたエリカの暗部や深部と言う意味でも、いずれもこの映画から読み切ることは難しく、いずれも表現しきれていないような消化不良を感じた。エリカという女性の魅力と狂気も、物語を通してというよりは女優・浅田美代子の気迫を通してしか感じようがないようなところが否めなかった。
結果見終わって一番印象に残るのは、エンドロールで流れる実際の被害者の証言インタビューになってしまう。映画そのものの言い足りなさを、その証言インタビューが補足するような形になってしまった。おかげで最後にガツンを力強いパンチを受けるようなインパクトは残ったが、その分作品自体の力の弱さが克明にされてしまったかな?という気がした。
(舞台挨拶で生でお見かけした浅田美代子さんは、登場した瞬間に光を放って見えたほどに、美しく文字通り輝いていらっしゃいました)
きりんさん。
きりんの演技見たくて、行きました。
きりんさんのメッセージは、お金は
なんだ?の答えがありました。
海外に寄付しても、それが現地の人たちのために使われてない現実批判もありました。シズちゃんだけちゃっかり儲かりましたね。
事実は小説より奇なりなんですが…
浅田美代子さんの迫真の演技が評判なのと樹木希林さんの遺作となる作品と聞き、鑑賞しました。
で、感想はと言うと、思ったよりもちょっとう~んな感じで粗々しく分かりづらいです。
浅田美代子さんと言うと今から約45年前の「時間ですよ」のミヨちゃんや「釣りバカ日誌」のハマちゃんの奥さんのみち子さんが有名でほんわかした感じの女優さんですが、当初は女詐欺師としては合わないんじゃないかな?と思ってましたが、これが生々しいリアル感がプンプンでw、フィクションを何か超えた様な演技と佇まいに鬼気迫る物があります。
実際の投資詐欺事件の受刑者にも結構雰囲気が似てるのでなかなかなナイスキャスティング♪
こう言った女性を演じる女優さんは大竹しのぶさんのイメージが強いんですが、浅田美代子の生々しさはなんか凄いですw
では、何がう~んかと言うと、事件の報道であらかたの経緯を知っているのですが、話の展開を理解しているにも関わらず分かりづらい。
場面転換のもたつく様で進んでいるのか、前後してるのかが分かりづらいです。
時折サブタイトルが画面に出て、起承転結的な展開が分かるけど、やっぱり分かりづらいなぁ。
また、渡部聡子がこう言った事件を起こすきっかけとなる父親と平澤への存在の心境の経緯が薄い。
どちらも胡散臭く、また嫌な存在を醸し出してるのに、きっかけではあるけど、雰囲気が先行しし過ぎて、出落ちみたいになってるんですよね。
全体的に画面が黄色味のフィルターと明暗が強いのでこれも過去なのか?今なのかが分かりづらいんですよね。
渡部聡子の事件を苦々しい過去として明暗を付けて、荒々しくした事があんまり作用してない感じです。
タイトルの「エリカ38」も38歳と偽ってから来ているのに、そんなに劇中に38歳を押し出してないし、タイでしかエリカと名乗ってないので、言う程タイトルと連動してないのもツッコミ所の1つw
演じる浅田美代子さんも実際の犯人の女性もど~見ても38歳に見えないしw、単にあの事件をモデルにした事を言いたいだけにしか思えないタイトルになってます。
樹木希林さんが亡くなられてからの遺作が幾つか上映されてますが、ちょっと遺作である事を過剰にし過ぎてる所も無きにしもあらず。
樹木希林さんの作品はこの後も「命みじかし、恋せよ乙女」が待機してますし、仕方ない所ですが、あまり過剰に遺作ビジネスになってる感が感じられるとちょっと観る側の気持ちを逆撫でしてる様にも感じますが如何でしょうか?
全体的にホント分かりづらいと言うのが付きまくるぐらい、粗さが目立ちます。
「事実は小説より奇なり」と言うぐらい、巷には様々な奇々怪々な事件が報道されてますが、この作品も実際の事件をモデルにしているのと樹木希林さんの遺作と考えても勿体ない感じ。
いろんな部分を肉付けし過ぎて、またいろんな部分が足りない。
良い部分もあるからこその勿体ないです。
最後に浅田美代子さん演じる渡部聡子が乗っていた赤い車はポルシェに思えたのですが、タイで付き合う男性の名前もポルシェと言うのはどう考えてもギャグw
ポルシェに乗って、ポルシェに乗られたwと言う下ネタギャグは製作側の意図でしょうか?
だとしたら、そこだけ深いですw
まあまあだった
事件を知っている人前提に作られているような感じだった。スリルやサスペンスを描かず、象徴的な場面を再現するばかりで、短いわりに長く感じた。もっとドロドロしたところや内面の深いところを描いて欲しかった。
可哀想だよ(>_<)
元ネタの主人公がそれほど綺麗でもなかったからといっても、これではあまりに可哀想です。
朝田美代子さんって美人ではないけどキュートだと思う。なのに全然良いところが活かされてなくてとても残念。
もう少し綺麗に撮れなかったの?メイクさん、もう少し頑張れたのでは?って感じです。一番残念だったのは手。やたら真っ赤なマニキュアの手がクローズアップされるのですが、美しくない…私の手の方が綺麗なくらい(((^_^;)指先(マニキュア)とまつげ(マスカラ)って女の心を表すと思うの。美意識とかモロに出るパーツだから。
さて、お話しは詐欺まがいの行為でお金を集め、そのお金がどこでどうなったのか?結局解明されずにモヤモヤしたまま。そして肝心の女のサガ、その本質に迫るのか?と期待していたのだけど、ぼや~んとしたsexシーンがあるだけで、あまり表現されていなかった気がします。
ノースリーブに短パンで身体を張ったわりには…ね。
女優を美しく輝かせることが映画監督の基本。
"KIKI KILIN presents"とクレジット。故・樹木希林の最初で最後の企画作品。主演の浅田美代子を始め、主要キャスト、監督、プロデューサーに至るまで自ら交渉、完成に導いた。
良くも悪くも、樹木希林の遺作ビジネスのひとつである。
本作は、2017年に出資法違反の疑いで、滞在中のタイで身柄拘束された山辺節子(当時62歳)の半生をモチーフとしている。
実事件の映画化ではなく、"女のエゴ"の変わり様にフォーカスしている。主人公も渡部聡子(エリカ)に変えてある。樹木希林自身も、主人公の母親役で出演する。
モデルの山辺節子が世間をザワつかせたのは、自身を38歳と偽り、現地ホストに家を買い与えるなど、恋人契約に近い生活があきらかになったことだ。
特別に美人でもない、ふつうの容姿であることを自認しながら、ミニスカートを履いて"38歳"と詐称する、さじ加減の巧さに、多くの人が唸った。
樹木希林はこの事件の映画化と同時に、還暦を迎えた浅田美代子とイメージがすぐに結び付いたのかもしれない。
本作は、事件報道された直後の2017年5月には、樹木希林から関係者に企画概要が持ち込まれている。この頃には余命を悟っていたであろう樹木のスピーディーな動きに驚かされる。
"45年ぶりの主演"という事実が示すとおり、アイドルで一世風靡した女優・浅田にもう一度、ひと花咲かせたいという樹木希林の愛情でもある。
企画のきっかけが、"主演・浅田美代子ありき"だけに、アテ書きとも思える部分もある。監督には、樹木希林がその作品「ブルー・バタフライ」(2017)を絶賛していた写真家の日比遊一が務める。
しかし日比監督の撮影アプローチには疑問がある。主演女優の浅田美代子が実物よりも老けて見えるのはいただけない。"観る人のイメージを裏切りたかった"というが、それは違うのではないか。
女優を美しく輝かせることが映画の基本だ。
むしろモチーフとなった山辺節子の若作りメイクは、バカな男が騙されるほどである。自然体で若作りを感じさせる浅田美代子の容姿だからこそ、そのままで企画意図どおりなのではないか。ラブシーン等で、わざと汚ないすっぴんアップを披露して、実年齢を感じさせることは、さほど重要ではない。女性のエゴの描写にも必要ない 。
さらに画角がスタンダード(4:3)で、フィルムテイストなグレインノイズと色味を感じさせる画質は、昭和の旧作でもあるまいし・・・。これによって他の女優の顔も暗く沈みこむ。撮影期間も短かったらしいが、こんな撮り方は禁じ手。作品を観るに耐えない。
一方で、見事なシーンもある。債権者が渡部に詰め寄るくだりのリアリティは迫真だ。ここだけは観るべきものがある。
実際の事件は、"つなぎ融資詐欺"だったわけだが、それではストーリーが盛り上がらないので、本作では"発展途上国支援"に変えている。"寄付"でも"貸付"でも"投資"でもないところがミソ。
ストーリーの起伏もなく、出資金詐欺の注意ビデオを見せられているだけ。
唯一楽しかったのは、初日舞台挨拶。出演者のひとり山崎静代(南海キャンディーズのしずちゃん)の第一声、"どうも蒼井優です"・・・だった(笑)。
ちなみに樹木希林の遺作ビジネスはまだ続く。8月16日公開のドイツ映画「命みじかし、恋せよ乙女(仮)」(英題:Cherry Blossoms and Demons)に出演している。
(2019/6/8/TOHOシネマズシャンテ/スタンダード)
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