劇場公開日 2019年12月27日

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「好バランスの青春音楽コメディ」ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル! しずるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5好バランスの青春音楽コメディ

2020年1月9日
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笑える

楽しい

これを他国が作ったら少々鼻につくものになったかも知れないが、メタル大国フィンランドにやられてしまっては、降参せざるをえないというか。
てんこ盛りのメタル愛とロック魂に、自虐なのか地元自慢か、トナカイやバイキング、神話の小ネタも放り込み、ベタなメタルあるあるとぶっ飛んだ展開、にしては妙に安定感ある青春ストーリーへと、絶妙のバランスで仕上がった。

コメディは笑いのセンスが合うか合わないかがほぼ全てと思うが、私はこの感じ、嫌いじゃない。
なんと言っても、メタルとコメディの親和性の高さよ。泥臭くてアホな事を、大衆の白い目を 物ともせず、真剣にクソ真面目に貫くのが、可笑しく愛らしく微笑ましく、最高に格好良い。ある種アングラなイメージと、際どいブラックジョークも合っている。
このご時世にこのネタ大丈夫なの~?とヒヤヒヤするシーンもあるが、メタルが忖度するようになっちゃあ、他に誰が体制や規範に中指立てるのかって言うね。
クソとかゲロとか下ネタも満載だけど、粘度低めであっけらかーんとしてるので、ダメージは少ない。私は『女王陛下のお気に入り』の方が、よっぽど精神的にキたなぁ。
最近の私の、コメディ映画90分最適説。ちょっとしつこいなぁと飽き始める前に決着する適度な持ち時間。
前半はやや冗長な部分もあるが、後半加速度的に盛り上がり、最後ぶっ込んでやったぜ!と、テンション最高潮の所で潔くサクッと終わるのもいい。

有名メタルバンドの小ネタやゴリゴリのメタルサウンドなど、好きな人には堪らない要素も多いが、ストーリーの根本は定番青春ドラマ。恋あり友情あり成長サクセスもののカタルシスあり。メタラーだけがほくそ笑むカルト作品に止まらない。
加えて、北欧の人の鼻梁の高さって…と、平面顔の日本人が気後れするような美形も堪能できるので、むさ苦しい印象に腰が引けている女子にも推しておきたいが、一人は盛大にリバース繰り返すし、一人は中盤以降一貫して白塗りになっちゃうので、手放しでお勧め致し難い…(笑)バンド好き長髪好みで下ネタに寛容な方は是非。
クセが強そうだなぁ~と身構えていざ頬張ると、意外に普通にイケるかも、ていうかハマるかも…な、サルミアッキみたいな一品。お試しあれ。

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しずる