「☆☆☆★★★ 《彼女》の事は。父親を筆頭に、医師や学校等が全て理解...」Girl ガール 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★ 《彼女》の事は。父親を筆頭に、医師や学校等が全て理解...
☆☆☆★★★
《彼女》の事は。父親を筆頭に、医師や学校等が全て理解し、協力をしてくれている。
そしてバレエ仲間も認めてくれている。
だけど…。
ララ本人の不安は尽きない。
心は女性、その見た目だけなら完璧。
だが、本人だけが知る。本物の女性へとなかなか近づいては行かない自らの身体。
その思いを増幅させるのが、(バレエを始めた時期の遅さから)技術的な遅れを取り戻せない焦りと、ホルモン治療への不信感がどうしても拭えない。
やがてその思いは。自身の心の乱れや、仲間達の心ない悪戯等を経て、焦りから【怖さ】へと変化して行き。その辺りからの、微妙に壊れ始めるララを、映画は繊細なタッチで見つめ続ける。
カメラは、ララの表情を絶えずバストショットで捉え続けるのだけど。その為に、バレエ場面等は彼女の一挙手一投足をつぶさに観察していて。彼女がターンを繰り返す毎に、心の揺らぎが伝わって来る。
何処か観ていて。ガラス細工や陶器製品等を扱っている時に。いつ落としてしまって割ってしまうか分からない、あの怖さの感覚が終始続いている…と言えるだろうか。
最後がやや曖昧に終わってしまうのが、ちょっと残念な感じでしたが。これは評価が高いのも頷ける秀作でした。
内容的には全く違うのだけれど。同じフランス映画の『水の中のつぼみ』とゆう作品を、ちょっとだけ思い出した。
2019年7月10日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
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