「最後の表情に救われた」Girl ガール motuniさんの映画レビュー(感想・評価)
最後の表情に救われた
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全編を通してララの痛みが、しんどいくらい伝わってきました。
厳しいレッスンの後、脱いだトウシューズから滲む血や、こっそりトイレで着替える姿、下半身を無理矢理隠すためのテーピング、クラスメイトからの意地悪な目。
家族や治療を担当する医師達は優しく、ララに焦らないで、と伝えつづけるけどララは手放しにその助言に身を任せることはできない。
「大丈夫?」と聞かれてもただ「大丈夫」と答え続けるララ。途中でララが感情を爆発させたり、父親や信頼できる大人にすべて打ち明けてくれたら、見ている方も楽になれるのに。
そうならないのは多分、ララにもまだ言葉に出来ないことがあったり、心と身体の痛みは他人とシェア出来るものじゃないからかな、と思った。
トランスジェンダーとは話が少し違うけど、トゥシューズを無理して履き続ける姿を見て、最近の#KuTooを思い出しました。
心と容れ物が合わない、身体の変化に心が伴わない、って誰しも経験があるはずで、そういう点では共感しやすいのじゃないかな…。
あと、人によって見方が違いそうだけど、作品中ではララはまだ恋はしていないのかな、と思った。
恋を出来るかどうか試すような行動が、また胸が痛くなった。
こんなに痛みに共感させられた映画ってなかなかないし、ララの懸命に立っている美しさに惹きつけられた。
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