「自由という名の駅を目指して。」僕たちは希望という名の列車に乗った bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
自由という名の駅を目指して。
冒頭、テオの脳タリンチャラ男感に、正直、不安になり。こんなノリなんか?若気の至りの話???じゃ終わらなかった。良かった。とっても!
社会主義の管理抑圧からの解放の欲求。家族からの想いと家族への想いが交錯するクラス。ドラマが重いです。
平等だから「同士」と呼ぶルール。明白に上下関係有りますけどね。マヤカシの革命。
「反革命分子」。イヤイヤ、単なる反体制です。革命前より息苦しく、生き難く、言い難い革命政府へのレジスタンス。
希望ってなんなんだろう。
よしんば、あのまま高校大学を卒業したとしても。彼等の最大の政治的な不満はソ連の支配下にある事。自由の無い社会主義体制。その体制のヒエラルキーの上位に地位を求めるのが、希望なのか。ハンガリーへの共感者が半数を超えていた事は、当時の東ドイツの内情を映したものなのだと思う。
労働階級に甘んじず。だが上位に上がるためには体制には逆らえない。この位は大丈夫だろうと言う甘さが見逃されない程に、体制側も神経を尖らせてたのだ。「壁」が完成するのは、それから5年後のこと。この時代、テオ達は何を考え、どう生きたのだろう。
自由からの孤立。希望からの隔絶。それが「ベルリンの壁」。
二つの家族。二人の父親と、二人の母親が、同じ様に子供を送り出すのが印象的。ここには希望が無いから。無くなってしまったから。子を思う気持ちから。だけじゃ無い。
俺の様になるな。はテオの父の想い。だから高校を卒業して大学へ進め。
俺の様に生きろ。クルトの父。
二人の父親の下した結論は、同じだった。
隅から隅まで、些細な小ネタまで、胸に刺さるもんで。列車の中の景色が好き。遠足にでも行く様にクラスメイトが集まっていて。一人では下せなかったであろう選択、行動。やっぱり、仲間なんだ!一緒だから踏み出せるんだ!
本当に良かった。