劇場公開日 2019年5月17日

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「傑作」僕たちは希望という名の列車に乗った トミーワイルドさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0傑作

2019年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

今年は3月から4月後半まで映画を観られなかったので、アカデミー賞関連の作品や良作をかなり見過ごしちゃった気がする。
そんな状況だったけど、この作品はここ数年間でベスト5に入るほど心に残る素晴らしい作品だった。
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邦題が作品の行く末を示してるなぁと思っちゃったけど、そんな想像も何のその。
彼らの無意識に取った行為が、どんどんと予想外の事を招き、親子の関係や友情さえどうにかしてしまう展開にストーリー半ばから
もうボロ泣き。。
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これが史実だと考えるだけで、涙がまた溢れてきそうな位、
余韻がまだ残ってる。
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舞台は敗戦国であり、東西に分断された東ドイツ。
戦後の複雑な国家関係や、国柄による階級、
主義も混沌としたなかで、主人公となる18歳の高校生の
彼らの若者らしい正義感を失わない姿や、爽やかな関係性と、時に残酷な状況に陥っても決して友を見捨てる事無く連帯してゆく
姿に感動が止まらなかった。
そして18歳の彼らに将来の選択さえ与えない権力に対し自ら道を切り開いてしまう彼らの勇気と行動には尊敬さえ感じてしまった。
戦後社会の重厚な背景のなかに若者の将来性、国柄の歴史を示す夫婦関係、そして親子の強い絆さえも描いていゆくバランスの取れた傑作。
サントラもピアノの旋律や重低音のような音の強弱が作品に色を添えているのが心を揺さぶる要因の一つでもあった。
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主義や思想、環境によって血の繋がった親子でも考え方は大きく相違する事や、階級によって家庭環境の差も生まれてしまう社会も
上手く描かれていて脚本、脚色が本当に素晴らしい。
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原作にどこまで忠実に描かれているのかはわからないが、
監督の手腕と若い俳優さん達の熱の伝わる作品なのは
間違えない。
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原題は「静かな教室」だそう。行く末が判ってしまうと
書いたけど、最近の邦題ではピカイチだと思う。
まだ公開はしているので、
時間があれば是非観ていただきたい作品です。

とみまる