「ゆるいキャンプが結んだ固い絆」映画 ゆるキャン△ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
ゆるいキャンプが結んだ固い絆
公開初日は満席で断念し、3日目に鑑賞してきました。田舎の映画館にしては珍しく、連日ほぼ満席の大盛況です。とりあえず入場者特典をゲットできたのはよかったですが、パンフレットは通常盤、豪華版ともに売り切れで、ゆるキャンファンの多さに改めて驚かされました。
ストーリーは、社会人となりやや疎遠となっていた野クルのメンバーが、地域再生に取り組む大垣の呼びかけに応じて再び集まり、力を合わせてキャンプ場作りに挑むというもの。本作では、テレビシリーズで見せた、ゆるいキャンプとはうってかわって、本気のキャンプ場作りに打ち込む5人の姿が見ものです。
大人になってもキャンプにかける思いは変わらず、キャンプ場作りの合間に見せるキャンプ飯や自然を満喫する姿は気持ちよく、そこに描かれる景色もすばらしかったです。観客も疑似体験しながら、キャンプの魅力に触れることができ、この夏はどこかにキャンプに行きたくなるでしょう。
本栖高校卒業の数年後が舞台となっており、大人になってそれぞれの持ち味を生かした仕事に就いた5人の姿から、年月の流れを感じました。容姿はもちろん、落ち着いた言動、メンバー内のやり取りからも大人っぽさが感じられ、それが声優陣の確かな演技でしっかり伝わってきます。
いったんは暗礁に乗りあげたキャンプ場作りも、なんとか完成にこぎつけますが、それは決して5人だけの力で成し遂げたものではなく、そのことは彼女たちもしっかり理解しています。そんなところからも、彼女たちの成長を感じます。
その反面、高校時代の彼女たちが見せた、青春を謳歌するようなみずみずしさ、仲間との軽妙なやり取り等がやや影を潜めたのは、ちょっぴり寂しくもありました。青春時代なんて遥か昔に過ぎ去った自分は、いつまでも無邪気に輝く彼女たちをずっと眺めていたかったのだなと、本作を通して気づかされました。
正直いうと、キャンプ場を作る大人の彼女たちではなく、キャンプを純粋に楽しむ青春真っただ中の彼女たちを観たかったという思いが強いです。しかし、本作を通して、今の彼女たちの原点である高校時代がいかに大切な時間であったかが改めてわかり、その尊さが増したような気がします。仲間との絆、周囲の支え、人とのつながり等、キャンプを通して学び、成長した野クルの5人。ゆるいキャンプが固い絆を結んでくれたことをしっかり感じ取ることができました。