「前作知識があれば圧倒的に有利だけど、なくてもギリギリ。」映画 ゆるキャン△ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
前作知識があれば圧倒的に有利だけど、なくてもギリギリ。
今年193本目(合計469本目/今月(2022年7月度)5本目)。
さて、今日最後の作品はこちら。0分入れ替え違いというタイトなスケジュール。
ネットフリックス契約者はもとの作品のアニメ版(ただし、大人になる前の物語)を見ることができるし、実際に全てを何度も見ることは時間的に無理だったので、最初のいわゆる「自己紹介的なパート」が多めになるであろう、いわゆる「1~3話」を中心にみて、結局長しで見たのは1回(1~3話のみ3回程度)というレベルです。
それでもなんとかなるレベルですし、最初は簡単な自己紹介や、アニメ版から映画版への移行(大人になって、もう一度キャンプ活動を楽しもう、という話、彼女たちの再会にいたるまで)は丁寧に描かれているので、作品全体を知らなくても大丈夫です(あれば有利程度に、過ぎない)。
アニメ作品としても結構マニアックな分野といいましょうか、結構こういう類型を扱う映画はなかったのでは…と思います。そのため、公式のハッシュタグが「映画館で部外活動」(だったっけ?)などするように、まぁ今年は一応、お盆など含めて「まん延~」などなさそうな雰囲気ですが、映画館でこういう体験もよいかな…といったところです。
キャンプ場の候補地となる場所はすぐ見つかり、そこで許可をとってキャンプ場作りをしていくのは既定路線なのですが、それでは30分で終わってしまいます。そこにいろいろな要素が盛り込まれ…といった一ひねり以上入った内容に仕上がっています。ただし、中高生の方が見ることも想定したのか、あまり極端なひねりは入っていません。
舞台は山梨県ということですが、山梨弁は使われてはいるのかもしれませんが、わからなくてもほぼ問題なし(標準語で理解できる)といった部分。逆にそうであるため、いわゆる「ご当地枠映画」である割にあまり山梨県もアピールポイントを入れなかったようで(「フラ・フラダンス」のような作りとは異なる)、淡々と進みます(換言すれば、山梨県の地理や歴史は深く求められず、せいぜい一般常識でいう日本の中学地理以上のことは求められない)。
個人的には中盤あたりだったか、「うちにはこのタイプのものはないけど、お隣のお店ならありますよ」という発言、あの発言は「本当にキャンプを愛しているから」でなければ言うことができないものであり、この部分は好感度は高いです。
採点上、下記は気になったものの大きなミスではないので減点なしとみなしフルスコアにしています。
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(減点なし/軽微事項/言い間違い・不正確な内容)
「県庁から(キャンプ場づくりの)許可が出て…」
→ 県庁に許可を出す権限はなく、「県」(山梨県)です。「県」と「県庁」の違いなんて些細なものですが、行政法一般ではちゃんとこの違いに関しては関しては扱います(ただ、どうであろうがきわめて細かいところでしかない)。
(減点なし/説明不足/キャンプ場づくりに必要な法律の知識など)
→ 実はキャンプ場を作るには、その土地利用の申請・許可申請から、火を使う場合には消防署への届け出、宿泊所を設けるならその申請…と、水道を新たに通すならその申請…とものすごく量が多いです(とはいえ、日常毎日のようにどこかで作られるような状況でない以上、その代行を専門にする行政書士の方はいないと思いますが…)。
もっとも、この映画をみて「じゃ、明日、私もキャンプ場作ろうか」というように考える人はそうそう想定できない(この点は、同じく説明が不足していた「ブルーサーマル」も、同じように「じゃ、明日グライダーを買おうか」という人が想定しづらいのと同じ)以上、そんなマニアックな行政法規の説明やら届出・申請の説明を延々としても誰もついていけないのは明らかなので、ここも減点なしにしています。
※ 興味があれば「キャンプ場 法律」などでググるとわかりますが、みかけに反して面倒くさいです。