「人はなぜこのような街を作ってしまったのか」象は静かに座っている redirさんの映画レビュー(感想・評価)
人はなぜこのような街を作ってしまったのか
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終始一貫して、灰色でぼろぼろ、風で常になにかひらひらとゴミが舞い、カンカンと耳が痛くなるような音を発し、それに負けじと、クズゴミと喚き歪み他人と自分を引き比べて嘆き叫ぶ人の声に満ち溢れた街、家、家族。わずかに垣間見るとても短いが温かさ感じる交わり。老人ホームに行ってほしいと娘夫婦に迫られている男の孫がおじいちゃんと呼ぶときの優しい違和感。誰もが恐れるヤクザ者の男が好きな女に言い負かされどうにもならないもどかしい違和感。少年がおばあちゃんに小遣いをもらったというときの自己肯定感の刹那、最後のシーンの初めて世界という物と邂逅したような違和感。
ブーの背中がスクリーンいっぱいに広がる。10代の少年とは思えないような、まだこれから、まだこれなら人生のあれこれを経験しようという10代の少年の背中とは思えないすべてを知らないままにら知り悟り諦めた虚しく大きな背中がスクリーンいっぱいに広がり悲しみとかそういうものも、カンという無機的冷たい音がしてはね返されそうだ。老人と上着を交換する、その背中も老人のようだ。
クーリンチェを思い出す作品。クーリンチェは出口がどんどんなくなっていくがこちらは最初から出口がない。夢か幻にもならない、、、、それでも。それでも。
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