「その全ては”因果応報”」LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
その全ては”因果応報”
ワンカットワンシチュエーション風の舞台劇。斬新だったのは、カメラ自身もシーンの小道具として鞄にいれた『隠しカメラ』を役者がその都度アングルをさりげなく換えながら撮影されていくという体の作りとなっている。その撮影方法はもしかしたら過去にも試みられているとは思うが、自分としては初めて観る手法である。俳優陣もインタビューで答えていたが、かなりの用意周到な準備とその伏線張りの順序等を演技に交えながらの行動に驚かされる。
とはいえ、ストーリーそのものは、かなり無理のある設定だったのではないだろうか。リアリティは限りなく薄く、なので演技も又どうしても演劇っぽいオーバーリアクションに始終してしまう。勿論、メタ構造であるから、作品の中で入れ籠のように演技をしているからと言ってしまえばそうなのだが、まぁご都合主義的な流れがどうしても鼻につく。
内容としては、それぞれスネに傷を持つ刑事と婦警が、お互い弱みを握られているデリヘル嬢とヤクの売人を自分たちの手を汚すことなく始末しようと計画を企て、遂行する奮闘記を隠しカメラで証拠としてお互い持ち合うという流れである。まぁ、そのドタバタはそれなりにコントなのだが、役者がやるコントなのでハッキリ言ってキレは悪い。気が強くなったり弱くなったりがどうしてもワンカットのため、スイッチではなくボリュームのように膨らんだり萎んだりしてしまうので、テンポが悪いのである。芸人ならばそこは切り替えの速さを武器にするのだろうけど、酒井若菜も三上博史もベテランとしてその懸命さは認めるのだが、波に乗れない、リズム感の悪い演技になっているようにみてとれた。結局、こんな大仰なプランが必要だったのか、もっと何か無かったのか、この計画の収拾先としてデリヘル店長に引っ被らせるのは荒唐無稽というより”イミフ”(何で店長は借りが出来たみたいな態度でスゴスゴ引き下がったのか?あれではそれこそ第3の共犯者じゃないのか?)と、ツッコミを入れたくなるようなグダグダ計画が取り敢ず無事成功し、晴れて2人の共犯関係は成就されるのだが、実は今作品のキモはそこではない。実はこの三文芝居も何もかも、スタッフロール中のお互いの安定した幸せな生活を余りにも執拗に映し出す所で、疑念が湧いてくるのである。ここまで2人の成功を映像化する必要があるのだろうか?、これこそ“吊り”なのかもと・・・・ そして案の定エンドロール後の横断歩道での衝撃のシーン・・・お互いに街であっても無視しようと決めた”フリ”もここで生きてくる。
明らかに全ての伏線はポスト・クレジットシーンに撒き餌として容姿周到に練られた構成である。これには思わず情けないが声を上げてしまったw かなり面白い結末である。アナウンスが無かったから、知らなければエンドロール中に帰ってしまう客もいるのではないかと心配になる程、中々のシーンであり、VFX技術の精巧さも目を見張るモノがあった。
酒井若菜があの年齢でも見事な巨乳で、折角揉みしだかれても脱がなかったのは非常に残念として言えない。ここは覚悟を持ってバストトップは出すべきだったのでは?元アイドルの女の子があれだけ体張ってバストトップ披露しているのに、ベテランが脱がなきゃ示しが付かないんじゃないの?と、苦言を呈することを最期に付け加える。