「のほほんとした空気のすき間から世知辛い時代の風が吹いてくる。」カーマイン・ストリート・ギター バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
のほほんとした空気のすき間から世知辛い時代の風が吹いてくる。
ニューヨークに実在するハンドメイドギターショップのドキュメンタリーで、次々と現れる豪華ゲストが一曲弾き語りをしてくれたりするので、まるで金太郎飴みたいに同じことを繰り返す構成も楽しく観ていられる。店主や弟子とミュージシャンとの語らいのレイドバック感にも、つい微笑んでしまう。
ただ、このギターショップがあるのはマンハッタンでも指折りの人気地区であるグリニッジビレッジで、普通の人間が住めるような家賃の場所ではない。幸運にも店は続いているようだが、近所のおなじみさんが残っているとしても、相当な金持ちしかいないはずだ。
そういった時代の変化は、映画の中でも語られているし、マーク・リーボウのような名ギタリストが「クレームが来るから家では練習できない」とボヤくのは、現代の世知辛さが象徴されている。都会のオアシスのようなギターショップの映画だが、このオアシスがいつまで存在していられるのか? 心のどこかで心配しながら観てしまいました。いつか行ってみたいから続いて欲しいです!
コメントする