「パレスチナ・イスラエル問題を喜劇に昇華させた天才技」テルアビブ・オン・ファイア AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
パレスチナ・イスラエル問題を喜劇に昇華させた天才技
かつての東西ベルリンや南北ベトナム、そして現在の朝鮮半島のように、かつてひとつの国・地域だった土地が政治的軍事的な事情や外国勢力の介入によって分断される悲劇。イスラエルでもまた、政治・軍事で優勢なユダヤ人が分離壁を作ってアラブ系のパレスチナ人を押し込めている状況が半世紀も続いている。それほど根深く深刻なパレスチナ問題を、皮肉とユーモアをたっぷりまぶしたコメディで描く映画が登場したことに驚嘆する。
イスラエル近代史に明るくなくても十分楽しめる。ドラマ制作スタッフのパレスチナ人主人公と検問所のイスラエル軍司令官の奇妙な交流、そして劇中ドラマでは1967年のテルアビブでイスラエルの将軍に接近するパレスチナ女スパイの活動と恋?が描かれ、この複雑な状況を楽しみながら学べるようにできているから。ラストは「こんな終わらせ方があったか!」と驚き、また爆笑して、希望を感じ取ることができるはずだ。
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