ヒズ・マスターズ・ヴォイスのレビュー・感想・評価
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ビクター犬「ニッパー」
とは多分、全然関係無いものだと思うのだが、しかしもしかしたらどこかで掛かっているのか怪しむ程、今作品の難解さは、かなりビターなSF作品としての価値がある。
スタニスワフ・レム作『天の声』が原作なので同じタイトルなのだが、レム原作の映画は何本か鑑賞していてどれも確かに硬質な内容だ。今作も一筋縄ではいかない難解さを炸裂させてストーリー展開してゆく。勿論、監督独自の解釈や、ストーリーの進め方が存分に炸裂しているらしいのでその辺りも益々混沌に拍車を掛けているのだろう。なにせ、『カオスはコスモスに変わる』という台詞がある位だから。
作中に差し込まれる様々なCG映像もまるでNHKの特集を観ている様で、この辺りの監督の意図みたいなものを訊きたかったのだが、あんな少ない時間での質疑応答ではそれも叶わず・・・ 特にラストの家系図的なCG映像はどんどん立体的に表現力が増して、その増殖力に圧巻してしまった。ハリウッドでしか出来ないことが、ハンガリーでも出来ることのイノベーションの速さに驚く。でも、発注かな?ミクロとマクロを縦横無尽に動く映像表現は使い古されていても、やはり強烈なインパクトを与えるものだ。
内容としては、東西冷戦時にアメリカへ渡りそのまま帰ってこない父親を捜す、旧東欧圏の子供の話という縦軸があり、横軸に、所謂『ムー』的な奇怪事件を文字通り織り交ぜながら(※ストーリー後半で、父親が幾何学模様の編み物をしている件にかけている)、西側に渡った父親が別の家族を持ち優雅な暮らしをしている実情への複雑な感情を持ちながらもその再会には血脈関係としての喜びも感じるという流れである。ただ、小児麻痺?な弟の裏切りにより、父親が復讐の憂き目にあってしまうドラマティックさも用意されてはいるのだが、如何せん、途中に挟み込まれる宇宙ステーション内のシーン等が益々話をややこしくさせていく。こればかりは監督の頭の中の表現なんだろうから、黙って作品を観る以外ないのだろうし、そもそもそれがSFなんだろうしね・・・
いずれにしても、どなたか解説してくれる人いないかなぁ・・・
東京国際映画祭にて鑑賞
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