「二人を支えるのはいつものパリのあちこち」アマンダと僕 kthykさんの映画レビュー(感想・評価)
二人を支えるのはいつものパリのあちこち
舞台はパリそしてロンドン近郊の街と公園。
緩やかな夏の日、ダヴィッドはプロバンスから来たばかりのピアノ教師のレナと会い恋をする。彼は今はもう学生ではないが、定職は不動産屋の手伝いと公園の木々の枝きりという気楽な毎日。
そんなダヴィッドにはパリの広場に面する質素だが優雅なアパルトマンに娘アマンダと共に住まうシングルマザーの姉がいる。彼女とダヴィッドの父はイギリス人であり、父と母はいまはいないが、父の妹は疎遠だがロンドン近郊に住んでいる。パリの粗末なペントハウス住まいのダヴィッドだが、彼は毎日のように自転車で英語教師の姉とアマンダを訪ね、パリの日常を謳歌する。
そんなある日、アマンダの母はイスラム人のテロに遭遇、その命はいつもの長閑な公園に散ってしまう。母そして姉という基軸を失ったアマンダとダヴィッドのパリ生活、いろいろあるが、しかし、悲しみをこらえ淡々と続く。いや、ふっと大きな悲しみに襲われる二人だが、二人を支えるのはいつものパリのあちこち。
この映画が描いているのは二人の都市世界、その世界は長閑なパリとロンドン。まだ7歳で母を失ったアマンダといい年をした優雅な青年ダヴィッドを支えるのは、二つの都市が持つゆたかな日常性にあるのかもしれない。
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