劇場公開日 2019年6月22日

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「意図は分かるが、物語が散漫」アマンダと僕 andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5意図は分かるが、物語が散漫

2019年7月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

喪失がテーマであり、ドラマティックな展開もなく、テロさえも物語の背景に置いて、大切な人を喪ったふたりの関係性を描く映画。
...なのだが、ふたりの関係性に焦点を当てたいのであればもっと登場人物を削れたような、物語を削ぎ落とすことができたのではないかと思う。関係者が多すぎて、物語がある意味単純な構造な割に散漫すぎるというか。細かなエピソードを繋ぎすぎて焦点がぼやけてしまったというか。そもそも焦点などないのか...。
ダヴィットとアマンダの哀しみはよく表現されているのだけれど、ふたりの関係性がずっと発展しているように見えないというか...。
でもまあそれがリアルなのだろう。しかし、リアルに描こうと、過剰に描くのはやめようという意図の結果なのか、ふたりが互いに何を見て何を感じているのか、私に心がないせいなのか分からない。心情のリアルに重きを置いた結果、実生活における困難のリアルが見えないのもあるし、テロを完全に背景に置くことの意図を掴めないというか。こちらの勉強不足かもしれないが、とても散漫というか、リアルなシーンを繋げただけでは物語にならない...というのも感じた。
ラストも消化できない。あの演出の意図が分からない。言葉の意味は分かる。アマンダの行為もなんとなく分かる。でもなぜあれをラストに持ってきたんだろうか...。あの台詞はラスト前に昇華しておいて欲しかった、気がしている。

andhyphen