「チキンの思い出」グリーンブック きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
チキンの思い出
差別なき世を迎えたそのあした
そういえば「グリーンブック」なるものが有ったよね と語り合うための、希望のロードムービー。
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うちの父は
ケンタッキーのチキンがそれはそれは大好きで、そこ、生涯一貫しているものだから、みんながそれを知ってくれている。
親族はもちろんのこと、かつての同僚や教え子たちまで父のチキン好きは伝説であり、決定的だ。
あの頃、1950年代、
進駐軍のクラブでJAZZを歌い、そのギャラで家族の生活費の足しにしていたのが僕の叔母=つまり僕の父の妹だった。
見たこともないアメリカの贅沢なご馳走として「フライド・チキン」を、米軍のフェンスの向こうから土産に持ち帰った妹。
それで父にとってはチキンが妹の愛を知る特別のソウルフードになったわけだ。
この映画は、「そのシーン」をこそ見せたくて父にDVDを贈った1本だ。
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映画の登場人物は ―
白人だがイタリア移民で底層に生きる男トニー。荒くれていて野卑。
かたや黒人だがカーネギー・ホール上階に宮殿のような住まいを有し、ハイソな演奏をする富豪のピアニストDr.シャーリー。
映画はこの使用者と運転手の「逆転ねじれ現象」が肝で、ゆえに問題多発(笑)の、2人の自動車での旅となる。
今では信じられない事かも知れないが、白人のクラブで歌い、演奏する事を許されていた黒人はたった1人、ナット・キング・コールだけだった時代があるのだ。
黒人が見せしめのために平然と木に吊るされていた当時だ。言語を絶する差別の社会にあってなお、「ナット・キング・コールだけは温情で生ステージが許可されていた」とは、逆の意味で、言葉を失わせるレイシズムの嵐。あの国の暗い歴史だ。
エンディング。
”有名人“を迎えてのクリスマスの食卓。
奴隷であったシャーリーと、移民のヤクザであったトニーの家族の
温かい食卓。
「手紙」がキーポイントだった。
イタリア男はこんなにも妻と家族を大切にする。そして友人をその大切な家族に紹介するのだ。
貧しい中でも、共に分け合うご馳走こそが、人間の心の最も大切な部分に「栄養」として行き渡るのだと
教えてくれるラストだった。
メリー・クリスマス to all ✨
父は93 歳、叔母は90歳です。
チキンは残さずに食べます。
ケンタッキー・フライド・チキンで、私は多分、コールスローを初めて知ったように思います。
「グリーンブック」映画館で観ましたがレビューは書いていませんでした
手紙がとってもいい役割でした。手紙大好きです。今でも、年上のおばさま、おじさま、郵便系OKの友達には、葉書、カード、手紙(重くない内容)のやりとり細々と続けてます。だから、郵便局の頻繁な切手値上げで、半端な額の切手が溜まってしまって、切手がかわいそう