世界一と言われた映画館のレビュー・感想・評価
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文化施設の大切さ
地域と映画館の関係について考えさせられる作品だ。基本的には、本作はかつてあった映画館への郷愁を語る作品だが、文化施設の持つ磁場というか、それがあることで地域にどんな彩りが生まれるのかなど、映画館の持つ公共性についても示唆に富んでいると思う。 グリーンハウスが火事によって消失したのは、1976年。地元の若い人の憧れだった街のシンボルが失われ、高度成長期も終わりを告げると、かつて港町として栄えた街は急速に活気を失っていく。映画館が火事の火元となってしまったのは、映画ファンとしては心が痛い。しかしフィルムは可燃性だし、映写機も稼働させっぱなしだとかなり熱を持つし高熱を発するランプも必要とする。ニュー・シネマ・パラダイスでも映画館で火事が起こっていた。今では減ったが火事は映画館にとって、馴染みのない出来事ではなく、よく起きうる現実的な危機だったのだろう。 今もこの地で映画文化を守ろうとしている市井の人々がいることに感動を憶えた。文化の根を絶やさないことの大切が描かれた作品だ。
私も行ってみたかったなぁ
70年代に山形県酒田市にあったグリーンハウスという映画館のドキュメンタリー。 . 田舎の映画館なのに、広い館内におしゃれな装飾、映画も地方はだいたい遅れて公開だけど東京と同時公開してたらしく、たぶん田舎の割にはすごい映画館だったんだろうな。 . 映画は街の人達の映画館の思い出と共に語られるんだけど、その中の1人のおばちゃんが今の自分すぎてシンパシー感じた(笑). . 休みの日はほぼグリーンハウスに通って、小遣いのほとんどは映画代。そして毎月発行されたグリーンイヤーズを全部とってあるとことか、私もシネマテーク通信全部とってあるよ!!みたいな(笑). . グリーンハウス、火事で焼けてなかったらどんな映画館として今残ってたんだろう。 . この映画欠点があるといえば、方言とご高齢の皆様なので何言ってるか聞き取りずらいところね。あと街への愛が強すぎてその話関係ある?ってのが多々あった。 .
もっとグリーンハウスを欲したかった。
映画好きなら、1つや2つはお気に入りの映画館があるかと思いますが、あの淀川長治さんに世界一の映画館と言わしめた映画館のお話ならと俄然興味が沸いてきたのと、東京では名門映画館として名高い、有楽町スバル座での2週間限定公開とあって、初日に鑑賞してきました。
で、感想はと言うと、ドキュメンタリー作品ですから当たり前なんですが、限りなくドキュメンタリーでw、グリーンハウスの映像とかが思ったよりも少なく、当時関わってた方や地元の方の回顧録が殆どで、まあ副題にドキュメンタリー証言集と明記されてるので仕方ないんですが、思ってたよりもう~ん。
もう少しグリーンハウスの映画館としての当時の写真や映像、どんな作品を好んで上映していたのかや、淀川長治さんが何故この地を訪れて、グリーンハウスの何処に牽かれたか、支配人の佐藤久一さんが地元とは言え、何故この地にこれだけの映画館を作り出そうとしたのか、また映像にもあった正面玄関油絵看板を始めとして装飾の拘りなどを期待してたのですが、このグリーンハウスが火元となった「酒田大火」で多分殆どの資料は焼失してしまったのでしょうね。
なので仕方がないと言えば仕方がないんですが、見せられる資料が少な過ぎて、これでは共感出来る出来ないよりも、なんか昔の自慢話を聞いてるみたいな感じがしなくもないですw
なので、映画としての評価はちょっと微妙です。
ですが、グリーンハウスの素晴らしさは十二分に伝わってきて、映画館の設計思想は古くも新しくて、今と比べても遜色のない最先端。映画好きが理想とする映画館で鑑賞してても良いなぁ〜、こんな映画館が現存してたら行ってみたいなぁと思いました。
回転扉の入り口に中から珈琲の薫りが漂ってきて、ステージ前には生け花があって、上映開始前に「ムーンライト・セレナーデ」が流れるなんて、正しく映画館が夢を描き出す空間として表現してますよね。
面白かったのはスタンダードカクテルして名高い「雪国」を産み出した井山計一さんが出演されていて、図らずも同じドキュメンタリー映画「YUKIGUNI」とリンクしてた事。
また、冒頭でも触れられていましたが、被害総額400億円にも上る損害を出した酒田大火の事のその後ももう少し掘り下げて欲しかったかなと。
地元の人には複雑な思いが交差して、思い出があって可愛さ余って憎さ百倍な感じで憚る感じかと思いますが、グリーンハウスの事を掘り下げられないのなら、グリーンハウスの支配人、佐藤久一さんのその後や苦悩も知りたかったかな。
地元の人や当時者の方、遺族の方にしてみれば触れられたく思いや傷があるかと思いますが、この作品でグリーンハウスが今と比べてもどれだけ素晴らしい劇場であったかを知らしめる切っ掛けにもなってるので、ここを描いて掘り下げないとせっかくのこの作品の本質を描いてないのではと思うのですが、どうでしょうか?
この作品を観た後にエンドロールにも記載されていた岡田芳郎さんの「世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか」と言う本を偶然本屋で見つけて、軽く読んでますが、グリーンハウスと佐藤久一さんの事がしっかりと書かれているのと、かなり面白いので、この本を映画化した方が良いのでは?と思いましたw
また昨年の2月に亡くなられた大杉漣さんがナレーターを担当されてますが、思ったよりもナレーションの出番が少ないかな。ちょっと肩透かし。
シネコンが増えるのは映画好きとしては嬉しい事ではありますが、昔ながらの味のある地元の映画館が無くなっていくのは寂しくて、この作品を観て、自分の中で旅行した際に出会って、昨年閉館した、山梨の葡萄畑の映画館「テアトル石和」を思い出しました。
そんなきっかけを作ってくれて、思いに浸れる、味のある作品なので結構惜しいなぁと言う感想です。
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