「「くりまるな」とか「ゆ~っとするんだな」」長いお別れ shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
「くりまるな」とか「ゆ~っとするんだな」
映画「長いお別れ」(中野量太監督)から。
書籍「長いお別れ」(中島京子著・文藝春秋刊・263頁)を読んでから、
もう1年半以上が過ぎたが、案外、ストーリーを覚えていた。
当時「お父さん、つながらないって切ないね」を取り上げ、
今回も「この頃ね、いろんなことが遠いいんだよ」「遠いって?」
「いろんなことがね、あんたたちやなんかもさ」
「遠いのはやっぱり寂しいよね」の会話が気になったけれど、
もっと面白いシーンにぶつかった。
もし仮に、認知症で徘徊したり、行方不明になっても、
携帯電話の「GPS」機能を利用して、居場所がわかる、というシーン。
その「GPS機能」を説明する娘2人と、母親との会話。
「ジー・ピー・エス?」「そう、GPS付きの携帯を持たせとけば、
もし不意に出て行っても、いつでもどこにいるかがわかるの」と、
認知症の父親に携帯(GPS機能付き)を持たせようとするが、
母親は「うん…」とあまり気乗りがしない。
そして、私を笑わせてくれた一言。「でもお父さんだって男よ、
今どこにいるか、知られたくない時だってあるんじゃないかしら」
真剣な顔つきで、反論した姿がとても楽しかった。
それに対して、バッサリと「ないと思う」と即答した娘との対比。
夫婦と親子の差なのかもしれないが、メモ帖を騒がせた。
「まぁ、そう、くりまるな」とか「それはな、うん、ゆ~っとするんだな」と
感覚が言葉になってきた時、意味はわからないが、
「ゆ~っと?」と訊ねたら、「ゆ~っとだ!」と自信げに答える会話で、
なんだか、ほっとしたのを覚えている。
あれっ、原作にもあったかな、こんな場面と、会話。
仕方ない、もう一度、読み直しだな。