劇場公開日 2019年5月31日

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「蒼井優と繋がりたい・・・」長いお別れ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0蒼井優と繋がりたい・・・

2019年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

 認知症患者数は高齢者の7人に1人とまで推計され、軽度まで含めると今や400万人を超える方が患っている。介護する人、家族まで含めるとほとんど全ての人が関係してくる問題とも言えます。そんな時代、『ばあばは、だいじょうぶ』のような入門編に加え、今作では大きな決断をも要求されるテーマを扱っています。誤嚥性肺炎とかも参考になったし、人工呼吸器に加え胃ろうの問題もあればもっと良かった。

 「家に帰る」という意味。「繋がりたい」という思い。メインテーマとは別に、家族がそれぞれ抱える問題をも描き、笑いもあり、泣き所もあり、そして汚物処理などの介護の現実もグサッと胸に突き刺さりました。さらに病院におけるインフォームドコンセントが必要な時代なため、延命治療も重要なテーマ。病院から呼び出されて、処置を施してもいいかを尋ねられる経験をしているだけに胸が締め付けられるほどだった。そこを笑い飛ばす演出にしたのは賛否両論だと思いますが・・・

 また、完成度の高さを感じる伏線の回収。遊園地の幼い姉妹、クッキー、紅葉の栞、漢字マスター、挙手など、あぁ使ってるなぁと感心するばかり。ちなみにネットでエリザベスを検索したら“易利薩伯”と出てきました。襟なんとかって、ちょっと変です。笑っていいのかどうかわからなかったのが、「上を向いて歩こう」を歌った直後に網膜剥離の手術後にずっと下を向いて歩いていた松原智恵子でした。

 次女の麻里を演じた蒼井優は最高!もう日アカ女優賞は決まったかもしれません。そして山崎努も助演男優賞決定です。残念なのは、演技は問題ないのですが、竹内結子パート。アメリカに住んでいるという設定自体が不要。予算的なものもあるかもしれませんが、アメリカらしさを感じられませんでした。最後に出てきた左ハンドルのプリウスが最もアメリカらしかったほど。

 やっぱり蒼井優の存在は大きい。宿題やって50円もらったエピソードもいいし、男運、仕事運に恵まれないところも。「なかなか繋がれないね」・・・そんなことはない!俺が繋がってやる~と叫びたくなる縁側での会話。それでもね、家族の繋がりだけじゃなく、認知症患者に対しては近所の人や旧友など、周りの人の優しさも大切なんだよ。道彦くんも良かったけど、彼も忘れっぽいから・・・

kossy
bloodtrailさんのコメント
2019年6月7日

何はともあれ結婚はおめでたい㊗️!

bloodtrail
グレシャムの法則さんのコメント
2019年6月3日

コメントありがとうございました。
そういえば、幼いお子さんがいる家庭の中には、本気で西日本へ一時的に転居した方もいらっしゃいましたね。
少ない情報(映画ではアメリカ在住の長女の助言)に頼るしかない、という老老介護の現実の一面を描いた、とみれば確かにそう目くじらをたてるほどのことでもないですね。客観的に観ようと思っていたのにかえって粗探し目線になっていたのかもしれません。
気づいてみれば簡単なことでも本人にはなかなか分からないものなのですね。
重ね重ねありがとうございました。

グレシャムの法則