「その復讐はあなたにとって、地獄の苦しみと引き換えに足るもの…?」地獄少女 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
その復讐はあなたにとって、地獄の苦しみと引き換えに足るもの…?
『不能犯』は、とある電話ボックスに殺人依頼すると、謎の黒スーツの男がマインド・コントロールで人を死に至らしめる。
こちらは、午前0時にのみ開く都市伝説的なサイト“地獄通信”に死んで欲しい人物の名を入力すると、“地獄少女”が地獄送りにしてくれる…。
どちらもコミックやアニメが基、憎悪やその代行など設定も少々似通っている、白石晃士監督によるホラー。
まずは、地獄少女こと閻魔あいのビジュアル。
演じるは、玉城ティナ。
アニメは未見だが、画像で見たビジュアルの再現度がスゲェ…!
一見おとなしそうで可愛らしい女学生風。が、常に冷静沈着でミステリアス、「いっぺん、死んでみる?」の決め台詞。
人間離れした地獄少女の存在感と惹き付けられる魅力の玉城ティナ。
製作側の満場一致のキャスティングも納得のハマり役。
あいに付き従う“三藁”と呼ばれる3人の使い魔のキャラも面白い。
人間の姿になってターゲットの身辺調査なども行う。
和入道=麿赤児、骨女=橋本マナミ、一目連=楽駆(←初めましての人)。
中でもやはり、麿サン。目玉をギョロッとさせ、まるでリアル大魔神!
『不能犯』は依頼が100%純粋じゃないと自分に跳ね返ってくるが、“地獄通信”もデメリットあり。
契約すれば、相手は痛みと苦しみと共に永遠に地獄をさ迷う事になるが、依頼した自分も死んだ後、地獄に落ちて痛み苦しむ。
ちと『デスノート』っぽい。
選ぶのは、アナタ次第…。
そんな“地獄通信”に依頼する2つのエピソード。
発端は、魔鬼と呼ばれる何処か浮世離れしたカリスマ的アーティスト。
彼に見出だされ、ライヴで歌う早苗。
そのライヴ中、不審な青年に襲撃され、顔に一生ものの深い傷を負う。
閉ざされた歌の世界。
そんな時知った“地獄通信”。
一旦は躊躇するが、青年から送られてきた反省の色全くナシの謝罪文が復讐の火に油を注ぐ。
復讐を果たし、再び歌の世界に戻ってくるが、彼女にもある人物から復讐の依頼が…。
歯止めが利かぬ復讐の連鎖。
魔鬼のライヴで出会った女子高生の美保と歌の世界に憧れる遥。
共に魔鬼のファンで、親友となる。
早苗の後釜を選ぶオーディションで、遥が見事合格。
魔鬼のプロデュースでデビューが近付くが、遥の様子がおかしくなる。
絶縁を言い渡され、ショックを受ける美保。
フリーライターの工藤の協力で調べて貰うと、魔鬼には衝撃の秘密が…。
ヤクで周囲の人たちを洗脳し、異常な神崇拝者。その為に遥を生け贄として捧げようとしている、汚れの純度が100%のヤベェ奴だった…。
遥を守る為、美保は“地獄通信”に依頼をする…。
話のメインはこちら。
このダークな作品に於いて、森七菜がピュア演技。が、終盤は串刺しになったり、嘔吐したり、復讐の狂気に取り憑かれたりと、熱演。
フリーライター役の浪岡サンもナイスな役回り。
作品の出来映え云々じゃなく、解せない点も幾つか。
契約前の美保や契約してない工藤は何故時折、あいの姿が見える…?
そのあいだが、地獄少女になるに至った経緯が本来詳しくあるようだが、一切語られない。
復讐の話だけがメインで、それだけを作り手はやりたかったような印象を受けた。尺の都合で泣く泣くカットか、それとも地獄少女の背景は謎のままにしておきたかったのか…?
アニメ版を見た人がガッカリするのはどの作品も同じ。
自分は初めての作品と世界観だったので、思ってたより悪くなかった。
2つのエピソードの復讐相手はどちらもクソ野郎で、それこそお裁きで狼狽する姿はスカッと!
でも…、それほどの復讐をしたい相手は勿論悪いが、自分もタダでは復讐出来ない。
「いっぺん、死んでみる?」
この台詞はひょっとして、復讐相手ではなく復讐依頼者に言ってるのかもしれない…。
さて、今夜も午前0時がやって来る…。
近大さん、毎度どうもです。
いやはや、再現度の素晴らしさは凄かったです。
本当はもっと酷いイジメに遭ってるとか、被害者がもっと復讐を考えるようなエピソードがほしかったです。
「喋った」と書きましたが、ほぼ挨拶程度だったと思います!当時は映画もあまり見てなかったし、麿さんだったかどうかも自信なくなっています・・・(汗)