「寅さん回想映画風の別物」男はつらいよ お帰り 寅さん odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
寅さん回想映画風の別物
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「お帰り寅さん」というより、「お帰り泉(後藤久美子)ちゃん」といった映画でした。再婚を進める朱美(美保純)にデリカシーが無いと満男(吉岡秀隆)が言いますが寅さんは気遣いの人でした、というより寅さんシリーズの共通のテーマは自分のことより一歩引いて相手の気持ちを慮ること、古き良き下町の人情の機微でしたね。
世の中の失恋に落ち込む青年の多くが寅さんによって慰められたことでしょう。ただ、また振られるだろう症候群を招いたかもしれませんから微妙です・・。
昔気質な人達の共感性があったればこそ大人気の人情喜劇、満男は泉にお節介で暑苦しい父母と言いますが、泉はそういう温かい家庭に憧れていたと答えます。山田監督も下町情緒が年々消えてゆき、人付き合いも変節していることは感づいていればこそのセリフでしょう。
時代遅れのこんな変な男が一人くらい生き残っていてくれても良いのにと思いますが、伝説の人になってしまいました。渥美さんは笑いとペーソスの融合の開祖チャップリンにも通じる偉大な俳優さんでした。
寅さんのDNAは甥の満男にも受け継がれていることは感じますが吉岡秀隆は笑顔より泣き顔が似合うイメージ、「顔で笑って腹で泣く、男はつらいよ」といった継承は難しいので別の映画になってしまいましたが、寅さんシリーズのファンには素晴らしい贈り物、渥美さんへの感謝の映画でした。
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