劇場公開日 2019年12月27日

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「ここに叔父さん(寅さん)がいてくれたら」男はつらいよ お帰り 寅さん えりあさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ここに叔父さん(寅さん)がいてくれたら

2020年2月14日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

まず、私は寅さんシリーズを一回も観ていません。
なのに泣いたり笑ったり最後は涙が溢れて止まりませんでした。寅さん(渥美清さん)がもういないということを知っているからこそ、余計に胸が締めつけられる思いでした。

冒頭の桑田さんのオープニングですが、最後まで見終わってしまえば大して気にならないものでした。なので桑田さんが嫌だからという理由でこの映画を観ない、鑑賞しないことは全くもって「もったいない」です。
それだけでこの映画に低評価をつけるのか分かりません。私もまた冒頭やだな…と思い敬遠していたものでしたが、見終わってむしろ今回は違う人でなければいけなかったように思いました。

寅さんの甥っ子の満男さんを主人公に寅さんに関わった人達が回想していくという構成です。
寅さんの言葉の端々が温かく、時には劇場全体を笑わせていました。その一体感も非常に心地よいものでした。シリーズを観ていないと分からないところ(ん?どうしてみんな笑っているのかな?)というところもありましたが、気にならないくらい非常に面白い映画でした。
近年の日本映画の中ではトップクラスの面白さです。
残念なのは高齢の鑑賞者が多いために、ネットでのレビューや評価が伸び悩んでしまうところでしょうか。こんなに素晴らしい映画を何故評価しないのか、非常に疑問です。

お隣さん、地元の人達との何気ない会話、温かい家族の温度、
何より忘れてはいけないのが、寅さんという存在。温かい思い出を沢山残して今もどこかを旅しているのでしょう。

私はこの映画を観て、寅さんにすごく会いたいと思いました。自分の辛いこととかを話したい、そして寅さんが満男さんにしていたように、ぽんっと背中を押して欲しい。
満男さんの

「ここに叔父さんがいてくれたら」

という言葉が胸にグサグサと刺さってくるのです。

寅さんの生き方は満男くんに受け継がれているようです。どんな風に受け継がれたのか。是非劇場に足を運んで欲しい。
お年寄りが多くても怯まずに観て欲しい。
きっと最後には温かい涙が流れて止まらなくなっているでしょう。

えりあ