劇場公開日 2019年12月27日

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「「男はつらいよ」を観なかった人生を後悔するほど面白い」男はつらいよ お帰り 寅さん といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「男はつらいよ」を観なかった人生を後悔するほど面白い

2020年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今まで、「男はつらいよ」シリーズを一つも観たことはありません。
今作は前評判がめちゃくちゃ高かったというのもあり、今回はじめての鑑賞です。

結論から言うと、めちゃくちゃ面白かった。そして、今まで「男はつらいよ」シリーズを観てこなかった人生を後悔しました。

今作には、「男はつらいよ」シリーズに登場していたキャラクター達が、キャストをそのままに登場します。当時の面影を残しつつ、成長した彼らを観るだけで、シリーズのファンなら感涙ものでしょう。

主人公の寅さんを演じた俳優・渥美さんが亡くなって、過去の映像を使って渥美さんを出演させるということが話題になっていましたよね。「過去の映像を使って出演させるってどういうこと?」と思っていましたが、映画を観て納得。回想シーンなどで過去の映像を差し込んだり、合成で登場させるんですね。

寅さんの甥にあたる満夫が本作の主人公で、脱サラして作家として活躍し始めた時に高校時代のガールフレンドである泉と久々の再開を果たすところから始まる物語です。父子家庭である満夫と両親との確執がある泉を通じて、家族のありかたについて描いた内容になっています。登場人物たちは寅さんとの思い出を通じて仲良くなったり、何か窮地に立たされたときは「寅さんならどうしていただろう」と考えたりします。登場人物たちの心の中には「寅さん」という偉大な存在が今でも生きているんだということが感じ取れる構成になっていて、また随所に過去の映像が差し込まれるのでファンにとってはたまらない内容になっていたように思います。

間違いなく今作の中心人物は渥美清演じる「寅さん」であり、過去の映像でしか登場しないのに間違いなく主人公であると思い知らされます。なのでスタッフロールで一番最初に出てきたのが「渥美清」だったのも個人的には感動しました。

惜しむらくは、私が「男はつらいよ」を未鑑賞である点。随所に「ファン向けのシーンだな」と思われるシーンが散見されたので、「何で俺は今まで男はつらいよを観てこなかったんだ・・・」と後悔に苛まれることになりました。今までのシリーズを観ていたら10倍楽しめたと思いますし、今までのシリーズを観てきたならば映画館で号泣していたと思います。

しかし、今までシリーズに全く触れてこなかった私でもこれほどに面白く鑑賞できて感動できる素晴らしいクオリティで、多くの人にオススメしたい映画でした。

といぼ:レビューが長い人