「小汚い人間描写が秀逸だった庶民映画、自分も含め皆歳とったなぁ‥‥」男はつらいよ お帰り 寅さん Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
小汚い人間描写が秀逸だった庶民映画、自分も含め皆歳とったなぁ‥‥
基本実写映画は見ないのですが、自分も昭和人間としてこの作品だけは別腹と云う事でようやく鑑賞、しかもお客さんは自分独りで初めての貸切り鑑賞でした。本作はワリと期待してたせいもあり、今回は厳しい点数にしました。
鑑賞前に偶然、この作品に対してケチを付けた記事を読んでしまい、ソレはまァジーサン同士の子供じみた喧嘩だと捨て置きジックリ鑑賞、内容は懐かしさ蘇る一部始終でいい作品でした。ただ言ってしまえばこれまで49作ものシリーズがあってこその50作目であり、総集編とは言えなくも集大成である事には違いない様です。
見どころは、過去作の名シーンのキリトリと、相変わらず頼りなくナヨッちぃ満男と今やマダムになっちゃったゴクミことイズミのエピソードを絡めた、今だから出来た?フィルムとデジ画像の編み込みで何の違和感もなく自然にまとまった物語でしょう。今見ても昭和当時の描写・演技、背景などはリアルな日常そのマンマを彷彿、当時から渥美清と周囲のキャスト&山田洋次監督の『小汚い』庶民再現は凄いなと感じていました。
そんな味わい深い作品ですが、チョッと腑に落ちない事がチョイチョイ。それは寅さんの思い出は語るも本人に一切触れない所。個人的にはソレはかなり大きな違和感で、イズミのセリフにもソレがなく(気を使うかの様に)、伏線であり後で回収するのかなと思いましたが結局放置。
更に、満男が駆け出しの小説家設定なのは、全くイメージになかったので結構違和感でした。ソレに加えてイズミも描写こそありませんが所帯持ちな訳ですよね? ソレなのにあの振舞いは個人的には微妙で、独身キャリアウーマンのソレみたいでした(所帯じみてない)。
そしてもう一つ、満男と娘のユリ?の会話が何だか余所余所しかったw 父娘であんな会話するかな? プラス「娘には母親が必要」云々のくだりも変でした。
そんな様な違和感もあり手放しで楽しめない箇所が幾つかあったのでソレを差し引いてのこの評点です。とは言え、このシリーズのみっともない人間物語を観てるとイロイロ共感する所も多く、全体的にはアニメ映画同様に楽しめました。
最後にもう一つ×をつけますが、冒頭の桑田佳祐はワリと不人気の様ですが、自分も同じくノイズでした。(文中敬称略)