劇場公開日 2018年12月8日

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「言葉がわからずに暮らすこと」暁に祈れ ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5言葉がわからずに暮らすこと

2018年12月16日
PCから投稿

興奮

「君への距離、1万キロ」で気に入ってしまったジョー・コール主演で、賞レースに挙がっていたので早く観たかった作品。タイでボクサーとしてファイトマネーで食べていた麻薬中毒のイギリス人のタイの刑務所での体験を書いた本が原作の実話で、主人公以外はほぼ全員が本当の囚人または元囚人というのがこの映画の特徴。
主人公は、暴力や賄賂やレイプが当然のように横行するタイの刑務所でもドラッグが止められず、時々怒りを爆発させ暴力をふるう以外、父親からの手紙を読んでいる時も表情からどんなことが書かれていたのか推測ができないくらい、感情表現がない。またタイに何年もいるのにタイ語を全く理解できず、周囲が何を言っているのか全くわからず、よくわからない異文化の中で暮らしている。それは観客も同じで、字幕のないシーンも多く、誰が敵で味方なのかもよくわからないまま主人公を見守る。しかし英語がわかるレディボーイと接触し、ボクサー時代のアシスタントが面会に来てから、少しずつ生きる気力を取り戻し、頼み込んでムエタイチームに入れてもらい、再度ボクサーを目指す。
余計な説明も音楽も殆どなく、いわばタイ語がBGMみたいなもので、ジョー・コールの熱演が際立つ。

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ミーノ