劇場公開日 2018年12月1日

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「『新聞記者』の予習になるかも!」共犯者たち kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0『新聞記者』の予習になるかも!

2019年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

 お隣の国ですけど、大統領が変わるだけで、民主主義じゃなくなったり、政局は揺れるのですね。『タクシー運転手 約束は海を越えて』、『1987、ある闘いの真実』を見て激動する韓国史を勉強したのですが、今度は今世紀に入ってからの問題。政権側が、体制批判をするメディアの番組PDや局長、ある時は社長まで解雇したり左遷してしまう韓国。報道の自由なんてあったもんじゃない。日本でいえばNHKにあたる放送局ではあるものの、政府の都合のいいように番組を作らされる世の中なのだ。

 このドキュメンタリー作品の中で大きく取り上げられていたのは労働組合によるストライキ。不当な解雇が続くからストで対抗してるのに、政権側から送り込まれた経営陣によって、さらに解雇や懲戒処分を繰り返す。最終テロップでは300人が憂き目に遭わされていたと書かれていたが、制作スタッフがほぼ一掃されたくらいの人数なのだろうか。

 監督でもあるチェ・スンホ自身もMBSを不当解雇され、同じく解雇された仲間たちとオルタナティブ・メディア“ニュース打破”を立ち上げ、調査を続行する。ストライキの生々しさ、権力側の横暴さを映像化し、リアルに訴えてくる。そして解雇されなかった者たちは権力に迎合して放送業界内の「共犯者」となっていくのである。

 今の日本の現状。官邸番の記者たちなんてのはスガの言葉をそのまま記事にし、質問なんかは受け付けない。疑問を持って批判しようものなら、広告主に訴え、潰しにかかるという状況。もう忖度記者しかいなくなり、報道の自由がなくなるのは数年前の韓国と同じになってるのではないかと思う。

 映画が作られたのは2017年。この年の“国境なき記者団”が発表している指標によると、韓国の報道自由度は世界63位、日本はこの酷い状況の韓国より下の72位だ。内戦が起こっている国にかろうじて勝ってる状況。この日本では、御用新聞化、御用ニュース番組化、そのうち「大本営発表によりますと・・・」などとニュースキャスターが語り始める時代が来るのかもしれない。

kossy