「ガトリング砲はあんまり役に立たない!」峠 最後のサムライ フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
ガトリング砲はあんまり役に立たない!
中立国になろうとした話
予告編が面白そうだったので期待してましたが・・・
正直、がっかりな出来栄えでした。
面白いとか詰まんない以前に「古い臭い」
黒澤明監督のスタッフが集結して映画を作っているのでしょうがないのかも知れないけれど、画的に退屈でしたね。よく言えば正統派時代劇なんだけれど、悪く言えば時代錯誤な作品といった印象です。
司馬遼太郎原作の別映画「燃えよ剣」はもっと動きも見せ方も、アクションも現代風で退屈しないんだけど、本作はかなり地味なので現代の映画に慣れてる人は眠くなるかも。
小泉監督の「雨あがる」は個人的に大好きな作品だけに残念です。
原作は読んでませんが、河井継之助の事は少し知っていたのでこの映画で彼の事をもっと深く知れるのかと思い鑑賞したのですが、正直あまり参考にならなかったですね。
それに魂が揺さぶられることも無かったな。
私の浅い知識での河井はガトリング砲買い付けたり、西洋軍備をかなり取り入れて、当時の日本でも有数の武力を保持し、兵器の強さで新政府軍と渡り合おうとした人物で、先進技術を取り入れて未来を見ていたけれど、未来を見誤ってしまった印象。
当時イケイケの薩長に対し関東でも凄い人物がいたんだよってくらいの認識でいした。
この映画を通して最期を知れたのはよかったけれど、予想の範疇を超えてなかったので、まぁそんなもんだよね。って感じでした。
継之助の生き方とか考えは悪くないと思うけれど、結局なすがまま時代のうねりに飲み込まれてしまった一人のサムライであり、決して最後のサムライではなかった様に思う。
この映画でではかっこいい生きざまだとは思えなかったし、滅びの美学や未来を憂いて無念に散る儚さなんかもあまり感じなかったです。
私があまりこの映画に乗れなかったからかも知れませんが、もっとかっこよく撮れたんじゃないですかね?原作もこんな感じで英雄譚ではないのかな?
だとしたら私が勝手に美談を期待したのが悪い・・・。どうにも不完全燃焼で劇場を後にしてしまいました。
俳優陣は可も無く不可もなく無難でした。
仲代達矢はもう演じてるとかの次元じゃなくていつもの仲代達矢でしたけれども、他の方々は役所広司含め皆さんかなり力を抑えてた様におもいました。
変に個性を出さず均一化されたような印象で、ここが見せ場ってシーンが無かったようにも思います。
吉岡秀隆の憤慨してる感じは見たことなかったでこのシーンだけは見れてよかったなと思ったけれど、それぐらいかな。
思わず笑っちゃいそうなったシーンは有りましたね。
田中泯が竹藪で素振りするシーン。
映画内で泯さんの見せ場が無いから無理やり撮ったんだろうけれど、全然かっこよくない・・・。
取り合えず入れました感がにじみ出てましたな。
総評としては、古き良き時代劇映画であり残さねばならない手法や表現かもしれないし、ある意味では安定の品質なのだけれど、制作側としてそれでいいのかな?です。
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劇中セリフより
「今のお嬢では生臭い」
赤ん坊のころから知ってる女の子を性的に見ないため&見られないため、誘いを断るのはサムライとして当然の義務!