「愛おしい宝物みたいな映画」いちごの唄 まつこさんの映画レビュー(感想・評価)
愛おしい宝物みたいな映画
愛おしい宝物みたいな映画。
始まった瞬間からなんかもう泣けてくる映画なんてドラえもんのおばあちゃんの思い出以来なんじゃあないか?すーごい。いい。
古舘佑太郎演じる主人公のコウタはずっと見ていられるキャラクターというか人間だーと思った。そのぐらい魅力的。カッコイイとこなんてないのにすぐに好きになってしまう人だった。「この世界の片隅に」のすずぐらい、この主人公さえいればこれからどんなストーリーが起ころうと目が離せなく夢中になって見てしまう、そんな感じでした。古舘佑太郎…拍手…!!超良かったよ。原作もとてもいい話だと思ったけど、凄く上手く人肌をのっけて肉付けされた生身感がじわじわ感じられるコウタだった。表情もいっこいっこ間違いなく良かった。
ほわほわしてる性格だけど、中学生の頃から良い意味でも悪い意味でも成長しきれていない中身が呪縛のように(多分過去のある事件もきっかけで)纏わりついていて、そんな彼は、変なうざったいやつと思う人もいるかもしれないけど、偶然再会したあーちゃんにとっては唯一の救いの存在だったんだろうと第三者の私にも痛い程伝わって来たんだ。
コウタ以外の…伸二くんも、あーちゃんも、コウタの家族も、伸二くんの育ったいちご園の園長先生も、コウタの職場の人も、ラーメン屋の店主も、一人一人が皆んな何か凄く良くて。それは「みんなめちゃくちゃ良い人たちばかりに囲まれて幸せ!」とかそういうことじゃなくて、まずコウタという一人の人間を好きになった感情移入した私にとってはコウタという人間を今日まで作り上げた周りの人や環境に感謝したというかありがとうというか…難しいけどそんな感情が芽生えたわけなんですよ。
キャストもカメオ出演の人たちも、私の好きな人がわんさかだったぁぁーーー。みうらじゅんと田口トモロヲと宮藤官九郎と麻生久美子が出てるってなんやねん、アイデン&ティティの原作者と監督と脚本とヒロインが出てるって凄すぎやしないか、すごないか??目から涙放出し過ぎて出すものが無くなった私は血でも出るかと思ったくらい興奮しましたよええ。
コウタ、伸二くん、あーちゃんの中学時代を演った大西利空、小林喜日、清原伽耶ももう最高でした。(朝ドラに清原伽耶ちゃんが出でくる週の週末にいちごの唄が公開ってアツ過ぎるよね…!)3人とも言わずもがな大好きだった。
音楽に救われる話ってのも昔から結構好きで(「フィッシュストーリー」の影響強し)。この映画が銀杏BOYZの歌を元に作った小説の映画化だからそりゃもうって感じなんですが、劇中に出て来た数人の人達と同じく私も音楽に救われて生きてきたなぁと感じました。
エンディングで流れる銀杏新曲の「いちごの唄」。おでんかお鍋かお味噌汁かってくらい五臓六腑に染み渡って…望んでもないのに勝手に染み渡ってきて、これが一生離れない離れたくないティーンエイジャー期の感情というか青くささを感じてしまうし、忘れたくないノスタルジーな気持ちなんだなとぼんやり思いました。でも銀杏BOYZを聴いていればそれこそ呪縛のように自分にこびりついて離れないのだろうと安心もしました。
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舞台挨拶も良かった!!初光石研に感激!
そして古舘佑太郎の人柄が少しわかって彼をまた少し好きになりました。コウタとかなり似ていた笑。魅力がすごいなー。