「インド映画はいつでも古くて新しい刺激に満ちている」パッドマン 5億人の女性を救った男 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
インド映画はいつでも古くて新しい刺激に満ちている
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愛する大切な人が病気になったり、最悪亡くなってしまうことから救いたい。そんな素朴で頑なな動機から始まったことが結果的に5億人の女性の力になる。国連でのスピーチのシーンでは涙ぐまずにはいられませんでした。
インドにはスーパーマンやスパイダーマンはいないけど、パッドマンがいる‼️
それだけで満足感に浸ってればいいのに、ひねくれたもう一人の自分が余計なことを想像してしまった。
先行して経済大国になった中国のように、これからインドが経済発展して、電気や通信、道路や空港などの物流も含めたインフラが整えば、グローバリズムの名の下に、花王やユニチャームやP&Gなどが進出し、せっかく貧困や前近代的な文化の呪縛から解放されつつあるインド女性の雇用を奪うことにならないか。仮に進出企業に職を得たとしても、自分たちで作っていることから生じる自立心や誇りを持ち続けることができるのか。
社会の発展途上で得られるひとつの達成(例えば、貧困からの脱出)の後には、また新たな社会問題(経済格差や成功者への妬みなど)が現れる、ということを示してくれるインド映画はいつも古くて新しい刺激を与えてくれる。
このような映画を見た後、私達が普段当たり前に享受している様々なことに改めて感謝しなけれはならない、というニュアンスの感想を持つことがあるが(勿論私もその1人です)、だからといって、今の日本において感じる不安、疎外感、イジメ、ネットでのヘイトスピーチなどの解決にはほとんど役立たない、という無力感も実は大きい。
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