「【鬱鬱しい考察系サスペンス映画。】」楽園(2019) 3104arataさんの映画レビュー(感想・評価)
【鬱鬱しい考察系サスペンス映画。】
・2019年公開の日本のサスペンスドラマ映画。
・長野県のとある集落で少女失踪事件が起きてから12年後、同じ場所で再び少女が姿を消す。12年前に誘拐された少女と一緒にいた女性と、12年越しに疑惑をかけられた集落で孤立した青年、同じ集落に暮らす養蜜家でとある出来事をきっかけに村八分にされた男性、その3名が軸となり人間の鬱々しい行動が描かれていく、という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・鬱鬱しい中に見出す少しの希望に考えさせられる
・サスペンス要素に引き込まれて最後まで観てしまう
・人間の恐ろしさを学ぶ
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[物語]
・サスペンス要素の部分においても、人間が成長する哲学の部分においても、決して安易な答えを用意してくれていません。その辺が好き嫌いを分けそうですね。私は観てよかったとは思いますが、「目に見える結論」が欲しいタイプなので、若干のモヤモヤは残ります。
・また、負のオーラが凄いです。報われなさといいますか、終始鬱鬱しい。そのダークな雰囲気こそが、サスペンス要素を盛り立ててくれており、かつ、村八分を行っていく人間の恐ろしさをリアルに感じさせてくれているのかもしれませんが。
[演出]
・私は登場人物たちが生活する「空間」にリアリティを感じて、より物語に没頭できたかなぁと思いました。孤独な青年の住む部屋、養蜜家の男性の住む家、集落のお祭り、などなど、田舎な部分やキャラクターの性格をよく表してくれる「空間」に全くの違和感を抱くことなく、いや、むしろそれに強烈なリアリティを感じたからこそ、物語もよりリアルに感じることができたのではないかなぁと思いました。
[映像]
・際立って感じたことはありません。
[音楽]
・大きく目立たずも、黒子となりダークな雰囲気づくりを担ってくれている存在だと思いました。
[演技・配役]
・佐藤浩市さんが泥を食べる凶器のくだり。綾野剛さんの弱弱しさ、一方で内に秘めている(かもしれない)恐ろしい部分を想起させてくれる感じ。とにかく演技が素晴らしいなぁと思いました。杉咲花さんはその2人の間で役柄的にも「淡々」とされていて、2人を際立たせてくれる大きな役割になっていました。そんな中で、ちょっとだけ笑顔になるシーンもあるのですが、それ以外が終始淡々としている分、とても可愛らしく見えて素敵でしたね。
[全体]
・全体的に鬱鬱しい映画ではありますが、最初はサスペンス要素に惹かれて「犯人はいったい誰なんだ?」と物語を、途中からは単純に「え?この人たちどうなっちゃうの?」と人間に焦点がうつっていく、非常によくできた物語だなぁと思いました。
・楽園の意味とは…犯人はいったい…と結論が欲しくなってしまう身としては終わり方は非常にモヤモヤします。笑 考察していくことに事意味がある、という視点で考えるとそれがまた良いですが。いずれにせよ好き嫌いが分かれそうな映画だなぁと思いました。少なくとも、私は観てよかった、と思いました。ありがとうございました。
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