「身近に起こりそうな怖い話」アンセイン 狂気の真実 mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
身近に起こりそうな怖い話
iPhoneで撮影したスティーブン・ソダーバーグのサイコ・スリラー。ソダーバーグなので、サイコなサスペンスといえども、病院の保険金詐欺という社会性が組み込まれていました。B級というと、何とも言えない「古い感じ」が漂うのですが、そこは、スティーブン・ソダーバーグ、全体的にスタイリッシュできちんとまとまった作りで一気に見てしまいました。なんていうか、B級でもかっこいい!(笑)
今じゃ特別なことでもない、心の問題をカウンセリングで相談すること。担当医が「自殺したいと思ったことありますか?」と質問したあたりから、不穏な空気が流れはじめて、もがいても叫んでも、病院から出られなくなって外界と遮断されてしまうソーヤー。そこには、あのストーカーが職員で働いていて……。ちょっとした行き違いから、自分の身にも起こってしまいそうな話。あー、こわ。
冒頭は青みがかった画面でした。『トラフィック』という映画を思い出しました。あの映画では青、黄色、普通色とエピソードごとに画面の色づけをしていましたが、青い画面には何か意味があったのか。切羽詰まって困っている状況なのか?
また、精神科医との対話で進んで行く感じは『セックスと嘘とビデオテープ』を彷彿とさせるものがありました。iPhoneでの撮影はインタビューのようなドキュメンタリー感があって、これも、『セックスと嘘とビデオテープ』の男主人公グレアムのビデオ撮影と重なってしまいました。
女主人公ソーヤーの噛みつきそうな顔が印象に残っています。男勝りで負けん気が強くて言葉も悪い。黒人のネイトに携帯電話を借りるとき、説得するのに「お返しにしゃぶる」からと。そして、携帯電話を返したとき「フェラはまた今度」とあっさりと。ちょっとくすくすと笑ってしまいました。
マット・ディモンが特別出演でちらっと出てきたけれど、台詞は長かったです。普通の相談員ですが、ちょっとここで普通モードに戻り、ほっこりしました。
もしか、これを日本でドラマにしたら、女主人公は濱田マリ、ストーカー男は髭をつけた小日向さんかな。
知っている人は知っていると思いますが、撮影のピーター・アンドリュースは、ソダーバーグのことです。